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ベンダーはともに戦う仲間──明電舎DX推進リーダーが「ONE MEIDEN」で挑む“業務改革の真髄”

「本音の対話で社内外を巻き込む」 DX推進本部 業務改革推進部長 進藤勝昭氏を訪ねる

 生活に大きく関わるインフラ事業を中心に、国内、海外で幅広く事業展開を行う明電舎。2021年4月に始動した「国内インフラ業務改革プロジェクト」を皮切りに、グループ全体の業務改革に挑んでいる。この一環として、当社は顧客接点情報の管理を強化すべく、複数のSaaSを連携させたCRM構築という独自のアプローチを採用した。このプロジェクトを牽引したDX推進本部 業務改革推進部長の進藤勝昭氏に、改革成功のカギ、さらには同社が描くDXの未来像について話を聞いた。

“本音の対話”による信頼から生まれた業務改革

──まず、これまでのご経歴と、現在の業務内容についてお聞かせください。

  1992年に明電舎に入社し、7年間ほど営業企画部門で経験を積みました。その後、経営管理部門を経て、 2002年には新規事業部門に異動しています。2013年からは、事業部門を管理する事業統括部長を務めたことで、個別事業を具体的に学び、社内の業務フローやプロセスを把握することができました。

 これらの経験をもって、2022年4月からはDX推進本部 業務改革推進部で業務改革推進部長を務めています。コーポレート部門で社内ルールを把握し、事業統括部長を経験した際に業務の中身を詳しく把握できたからこそ、DXの立ち上げも順調に進められたと感じています。

──明電舎が2021年4月に開始した「国内インフラ業務改革プロジェクト」(現在は「MEIDEN業務改革活動」)とはどのようなものですか。

 このプロジェクトは、2020年8月に経営から指示を受けたことでスタートしたものです。当時、次期中期経営計画を立案するにあたり、国内インフラ事業の収益力向上が経営課題の1つとして検討され、その取りまとめを行うミッションが与えられました。非常にタイトなスケジュールの中、プロジェクト事務局の責任者としてその内容をまとめ上げることが私の任務でした。

 その後、2021年4月に経営陣の理解を得て、全社プロジェクトとして立ち上げることになりました。順調にプロジェクトを立ち上げられた背景には、私が過去のキャリアで築いてきた各事業部門のキーパーソンとの人脈が大きく、本音で話し合える関係があったからこそだと感じていますし、現在もこの姿勢は変えずに活動しています。

株式会社明電舎 DX推進本部 業務改革推進部長 進藤勝昭氏

 プロジェクトを始動させるにあたって、まずは現場の各部門との対話による課題の共有と同時に、経営陣との対話を徹底しました。特に、部長や課長クラスのキーパーソンとの本音レベルの対話を重視しましたね。実際にプロジェクトを進める中でも、進捗を確認するための対話の機会は継続的に設けています。

 課題整理の際には、各部門個別の問題ではなく、全体を俯瞰した視点で捉えることを心がけました。これは個別部門の責任を追及するのではなく、会社やバリューチェーン全体の問題としてアプローチするためです。現場に責任追及するのではなく、会社全体として問題を改善しようとしていることを現場社員にも感じてもらうことで信頼関係を築く。こうして得られた関係性が、各部門の方々と本音の課題を共有できた要因になったと考えています。

──当初抱えていた課題について詳しくお聞かせください。

 私たちが直面していた大きな課題は3つありました。1つは、製造の各工程に個別の課題があり、業務プロセス全体の改善が必要だったこと。2つ目に、社内にサプライチェーン全体を一元管理できる業務システムが存在せず、部門・工程間の連携が困難だったこと。3つ目は、その結果として電話やメール、社内会議が多発し、間接業務に時間を取られることで生産性が低下していたことです。

クリックすると拡大します

 そこで、まずはサプライチェーン全体を見据えた抜本的な業務改革を進めていきました。業務改革を進めるにあたっては、常に全体の目的を意識し続けることが重要です。プロジェクトを進行する過程で「何を目指しているのか」と社員から尋ねられることも多くありましたが、その度にプロジェクトの基本方針を一貫して説明し続け、全体の目標に立ち返ってもらうよう意識しました。

 プロジェクトの目指す姿は、サプライチェーン全体の最適化と、部門や工程を一体化させた業務運営。そのため、「ONE MEIDEN」というコンセプトを掲げ、全員で協力しながら進めていくことが重要だというメッセージを打ち出しました。このコンセプトを実現するには経営層との対話も欠かせません。そこで、四半期ごとに役員から一般社員まで参加する活動報告の場を設けました。ここでは活動の共有と経営課題・現場の課題を共有し、適宜プロジェクトに反映させるようにしています。

 さらに他社との交流や情報収集も積極的に行い、コンサルティング会社やソフトウェアベンダーとの意見交換やフィードバックの内容もプロジェクトに反映させています。多くの関係者との日々の対話を継続しながらテーマを実行に移していくことがプロジェクトの成功に大きく関わってくるように感じます。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

竹村 美沙希(編集部)(タケムラ ミサキ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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