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NTTデータ佐々木社長が狙う、テラスカイとの資本業務提携の効果──かんぽ生命保険や大阪ガスは内製化へ

「TerraSkyDay 2024」速報レポート

かんぽ生命保険、大阪ガスが進める内製化──その狙いは

 次に登壇したのは、大阪ガス 執行役員 DX企画部長を務める藤井剛氏。DaigasグループとしてDXに取り組んでおり、「Daigas X(Daigasトランスフォーメーション)」と題して、下図5つの領域に注力しているという。

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 たとえば、「デマンドレスポンス(DR)」による“電力の安定供給”を目指しており、仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)による実証事業を推進してきたという。2023年には、エネファームの多数統合制御により要求レベルを全項目クリアできたとして、「これを支えているものが、高負荷データ分析基盤だ」と藤井氏。大量データをリアルタイム処理するための分析基盤を内製開発しており、機器制御における“頭脳”として活用していると話す。

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 「我々は単に企業競争力を高めるだけでなく、社会貢献力を高めることもDXを通じて実現したい」と強調。そのために、テラスカイグループがSalesforceの導入支援や人材育成、CoE組織の立ち上げを支援しているという。

 米国では約8割が内製によるシステム開発に取り組んでいる一方、日本は約4割に留まっているという調査もある中、DXを進める鍵はスピード力のある内製化だとして、佐藤氏は「我々のようなインテグレーターに仕様を伝えて、コンペをして……といったスピード感では間に合わない。内製化によるコスト削減はもちろん、開発速度の向上、競争力の強化、厳格なデータ管理なども実現できる」と指摘。テラスカイ・テクノロジーズでは、内製組織の構築・運用を現場に入りながらサポートしているという。特に、Salesforceのリリース管理においては、同社が独占販売権を有している「Flosum」というツールを核に据えており、効率化を進められているとする。

 実際にテラスカイグループの支援により内製化を進めている企業として、かんぽ生命保険 デジタルサービス推進部 執行役員 中根祐二氏が登壇。同社は、約2万局ある郵便局において保険手続きなどを提供している。その顧客チャネルの最前線を担っているコンサルタント社員がCX向上の要であり、Salesforceを中心としたシステムによるサポート体制を構築したと話す。

 具体的には、業務用スマートフォンに顧客から寄せられた要望などをプッシュ通知することで、たとえば入院保険金の手続きがされたり、誕生日を迎えたりした際に、すぐにコミュニケーションをとれるようになり、新たな顧客接点を創出できているという。

 「成果がみえてきた段階で、さらにもう一歩踏み込んでいく」と中根氏。2024年5月の中期経営計画の見直しにおいて、質と量をともなったアフターフォローの充実を掲げており、デジタル活用を前提とした顧客対応へと変化させていくという。

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 下図のように、すべての社員が同一の顧客情報などを利活用できるような姿を目指していき、Salesforce Customer 360を中核に置きながら、コンサルタントや窓口、カスタマーセンターなどに所属する各社員がデータを更新することで、常に最新データを収集・分析。顧客チャネルごとにあらたな接点創出、アフターフォローの拡充を図っていく。なお、現時点でテラスカイグループから2名が出向しながら「Salesforce CoE」組織の構築を支援している状況だという。

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 多くのベンダーが参画する中、「いろいろな方の力を借りないと実現はできず、目的を達成するために“1つのチーム”として動くことが重要だ。そのための環境を構築することが必要だと考えている」と話し、かんぽ生命保険での内製化を実現していきたいとした。

mitoco ERP、BeeX、Quemixにも言及

 2024年9月17日から開催された、Salesforceの年次イベント「Dreamforce 2024」にて発表された、Agentforceが話題を呼んでいる。「生成AIのような第2世代のAIから、自立型の『Agent AI』と呼ばれる第3世代のAIにシフトしていく」と述べるのは、テラスカイ 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏。そこでテラスカイが「mitoco ERP」で提供するのが、自立型Agent「mitoco Copilot」だと説明する。同機能では、Agentforce Platformを利用しており、人間の操作や作業をAIが代替するような機能提供を行う。なお、Dreamforce 2024 DemoJamにて優勝も果たしているという。山田氏は、「わずか数クリックで、自然言語で対話するだけで作業を進めることができる。Co-pilotと異なり、より業務に寄り添ってくれるものだ」と強調する。

 また、テラスカイグループとしては、クラウドプラットフォームの活用支援にも注力しており、その事業規模は拡大傾向にあるという。デジタルイノベーションやサステナビリティ、レジリエンスなどが企業の注力テーマとして挙げられる中、クラウドの重要性は以前よりも増している。特にクラウドセキュリティにおいては、境界防御からゼロトラストへと考え方がシフトしており、マイグレーション/モダナイズも進行する局面では「CNAPP」が注目を集めた。さらには、AIに係る権利やプライバシー保護といった課題も山積している中、「必要なセキュリティは常に変化しているが、まず注力すべきは『脆弱性対応』『認証・認可』『ログ管理』の3つだ」とBeeX 代表取締役社長 広木太氏は話す。

 加えて、データ・ファウンデーションとして、社内外データを集約・分析し、それを企業活動に活かしていくためのIT環境を整備することも必要だとする。いち早く取り組む企業も増えている一方、データの変換、データガバナンス、メタデータ管理、パフォーマンス管理、障害対応……企業内における横展開を阻害する要因は少なくないとも指摘。そこで、SnowflakeやDatabricksなどを用いた、「DaaS(Data as a Service)」のようなマネージドサービスを導入していくことも必要だとした。

 そして、これから到来する「量子コンピュータの時代」を迎えるにあたり、テラスカイはQuemixによる事業展開も進めている。NISQ(ノイズあり中規模量子コンピュータ)から研究をはじめ、FTQC(誤り耐性量子コンピュータ)を目指して開発を進めている企業が多い中、「想定よりも前倒しでFTQCを実現できると言われるようになってきた」と同社 代表取締役CEO 松下雄一郎氏は話す。同社は、FTQC用のアルゴリズムにフォーカスして研究開発を行っており、既に旭化成との共同研究において、量子コンピュータの実機上で同アルゴリズムを動かすような実証実験を行っている。松下氏は、「これからビジネス化を推進して、社会課題を解いていく。既にそのフェーズに突入している」と述べた。

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/20498 2024/10/03 18:25

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