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2025年のCIOが目指すべき「デジタル・ヴァンガード」への昇華とは? 取り組むべき4つのアジェンダ

Gartner IT Symposium/Xpo:ガートナージャパン 藤原恒夫氏

【3】イノベーションをビジネス部門と共創せよ

 グローバルにおける先進テクノロジの導入状況では、生成AI以外のAIを既に導入済み、または12ヵ月以内に導入予定の企業が、合わせて73%にのぼった。続いて生成AIが72%、ローコード/ノーコード開発プラットフォームが57%となっている。日本においては、生成AIが91%とさらに高い割合を示しており、続いてローコード/ノーコード開発プラットフォームと生成AI以外のAIが76%となっている。

 こうした先進テクノロジの導入は必要ではあるものの、それだけではビジネス・イノベーションを起こせない。デジタル・ヴァンガードであるCxOは、IT部門からの“イノベーション支援”を期待している。具体的には、イノベーション機会の特定や、AIのユースケース特定などといった支援だ。そして、ビジネス主導のイノベーション実現を求めている。しかし、それに応えられているCIOの割合はわずか18%にとどまっている。

 CIOのアジェンダ③「イノベーションをビジネス部門と共創する」の事例として藤原氏は、米国のヘルスケア企業VIZIENTでSVP、テクノロジ責任者を務めるチャック・デヴリーズ(Chuck Devries)氏を紹介した。Devries氏は、“人間中心の生成AI”によるイノベーションを促進しており、生成AIが従業員の仕事や個人のアイデンティティに与える影響に着目。ソフトウェアエンジニアリング、データ分析、営業およびサービス、契約管理といった、様々な従業員ペルソナに合わせた生成AIによるイノベーション支援環境を整備したという。

【4】ビジネス/ITテクノロジストを育成せよ

 デジタル・ヴァンガードとなるCIOは、ビジネス部門がデジタルスキルを予測するための支援を行っており、「65%がビジネス部門内でテクノロジースキル要件を特定できるようなサポートを行っている」と藤原氏は述べる。

 そして、デジタル・ヴァンガードとなるCxOはIT部門に対し、ビジネス部門のデジタルスキル育成を支援することを望んでいる。トレーニングの実施やデジタルリーダーシップの発展、実践コミュニティの構築、AIスキルの育成などといった支援だ。しかし、2025年に全社的なテクノロジー人材の育成を優先させると見られるCIOの割合は、わずか16%だとされている。

 CIOのアジェンダ④「ビジネス/ITテクノロジストを育成する」の事例として紹介されたのは、デジタル・ビジネスリーダーの育成に取り組むCF IndustriesのCIO ジュリー・フライガング(Julie Freigang)氏だ。同氏は、テクニカル面からビシジネス面まで幅広い分野が含まれるデジタルプロダクト管理のコンピテンシにおいて、テクノロジー側とビジネス側を分断することなく、包括的に人材を育成する仕組みを作り上げたという。

提供:Gartner[画像クリックで拡大表示]

 「2025年には、テクノロジ/デジタル・リーダーシップ・スキルを全社的に育成しなければなりません」(藤原氏)

 ビジネス部門側でテクノロジ業務に従事するスタッフが増えることで、強力なチームが形成されていく。CIOにとって重要な問いは、「自社におけるITテクノロジストとビジネス・テクノロジストの適切な比率をどう保つか」である。今後、どれくらいのビジネス部門のメンバーをテクノロジストとして育成していくかを検討する必要があると藤原氏は話す。

 先に挙げた4つのアジェンダを実現するCIOは、デジタル・ヴァンガードと呼べる存在になる。デジタル・ヴァンガードとなれば、CxOとともにデジタル変革を主導しやすくなり、従業員もIT部門と連携して変革に臨めるようになる。藤原氏はCIOをはじめとする日本のITリーダー、ビジネスリーダーに向け、デジタル・ヴァンガードになること、あるいはそのような人材を育成することを推奨し、講演を終えた。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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