2024年11月13日、独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)は、「データ利活用・データスペースガイドブック第1.0版」を公開した。同書により、経営戦略策定からIT戦略・企画策定、データスペースの運用、評価までの8フェーズを理解し、実施できるとしている。
同書は、データスペースの利用手順として8フェーズの全体像をプロセス図で示した上で、データをサービス展開などの事業に活用したい読者を「データ利用者」、データを提供したい読者を「データ提供者」として定義し、それぞれのタスクを明示。また、経営層・CDOや事業部門、IT部門が果たすべき役割も明確化し、各章の冒頭で、タスクを主導すべき担当者や関与の度合いをイラストで示しているという。
章立ては以下のとおり。
- 経営戦略策定フェーズ:経営層向けに、データ活用を軸にした事業推進体制を構築するために必要な組織の将来像やビジョンの共有、ロードマップの策定、CDO部門の設置といった組織整備の必要性を紹介
- IT戦略・企画策定フェーズ:事業部門向けに、ビジョン実現のためにデータ利用企画を策定し、収集するデータを選定する方法を紹介
- データ提供準備フェーズ:利用者側に必要なタスクが存在しないため記載なし
- データ検索フェーズ:事業部門向けに、データカタログサイト等を活用したデータ検索方法を解説
- 契約フェーズ:データスペースへの参加時に考慮すべきことや、データ主権の観点からデータ提供元と契約する場合の注意点などについて説明
- データ利用アプリケーション開発フェーズ:設計・開発・検証について説明。設計ではデータ構造やデータの管理の重要性を説明し、開発ではデータ利活用の高速化、開発せずにデータスペースなどが提供する機能やサービスの利用を推奨している。検証では、実際に契約したデータを利用し、テストを実施することを推奨している
- 運用フェーズ:データを取得する前に、本人確認や契約条件との照合を行う認証・認可やデータの信憑性を確認する来歴確認について、デジタル基盤などから提供された機能を利用して行う方法を紹介
- 評価フェーズ:データに基づいた事業活動、データ分析を改善するために行う評価の観点を例示。データスペース活用時の評価観点の例としては、相互運用性とデータ主権の2つの観点、CDOの役割としての評価観点は、データ戦略の達成度をはじめとした7つの観点を挙げている
なお、同ガイドの第2部である「データ提供者編」は、近日公開予定とのことだ。
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