製造現場でのデジタル化が進行中、新規事業の種も
DXICは約50名規模の組織で、情報関連会社であるFITECとともに、全国各地の工場などの事業所と連携し、デジタル施策の伴走支援を行っている。「データ活用を全社員に定着させる」というビジョンの実現に向け、「データ環境の整備、活用支援の拡大、人材育成」の3本柱で取り組んでいるという。
データ環境は、基幹システム、事業別システム(生産管理、SFA、製造実績など)、工場の製造データを扱うエッジ領域の3層で構成。各層でデータ蓄積の仕組みを整え、個別のデータベースから経営ダッシュボード、工場マネジメントの高度化・自動化、材料開発の効率化などに活用しようとしている。
DXICのものづくりDX事例としては、樹脂板製品の膜厚安定化や工程データの分析などといった異常検知・最適化ソリューション、材料データ分析ソリューション、光通信用部品の画像検査自動化などがある。
「今でも、社内には顕微鏡で目視検査を行う工程が多く残っていますが、画像検査はAIが得意とする分野です。現在、AIを活用した自動化を各所で進めており、光通信用部品の検査では目視作業を自動化できた事例も出てきています」(野村氏)
また、製造工程での微調整にもAIを導入している。従来はオペレーターの経験と勘に頼っていた製造ラインのズレの修正作業を、データの可視化と自動フィードバックによって効率化しているという。従業員が持つノウハウをAIの学習に活用することで、熟練の技を継承しながら自動化を実現しているのである。
コトづくりDXにおいては、SD統括部が社会インフラDXと『インフラレーザ』などの分野に取り組んでいる。
「たとえば『みちてんシリーズ』という、ドライブレコーダーの映像を活用して道路附属物の状態を検出し、メンテナンス台帳を作成するソリューションを提供しています。同様の技術を鉄道分野にも展開するなど、インフラ維持管理のデジタル化を進めています」(野村氏)