SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

Events & Seminars(AD)

「AK=AD+DD」~ソフトウェアアーキテクチャ構築のために取るべきナレッジマネジメント戦略とは

UMTPモデリング技術セミナー 特別レポート

IT業界における試行錯誤

 業界全体としての取り組みに目を転じてみよう。ソフトウェアアーキテクチャを表現するための取り組みは、この言葉が1969年NATOカンファレンスで初めて登場して以降、実にさまざまな形で行われてきた。

 たとえば箱&矢印による表現は、その黎明期に登場した試みだった。これは会議で15分ほど役員に説明する程度ならいいが、人によって見え方が異なるため、かえって誤解のもとだ。

 そうした中、私が考案したのは、建築家だった妹からその業界での青写真の描き方を聞いて発想したビュー&ビューポイント(図2)だ。その後、アーキテクチャの4+1ビューモデルとなって、Rational Unified Processの中に入っていった。

図2
図2

  アーキテクチャ設計手法については、いろいろ提唱されているが、本質部分は共通している。最初に要求があって、それを分析し、アーキテクチャ上判断すべきことをバックログへ貯めていく。 

  その後、アーキテクチャプロトタイプを作って評価。うまくいったことはバックログから削除し、うまくいかなかったことはバックログに追加し、その中で優先度を見直すというものだ。 

 そのほか、まだまだ改善の余地があるアーキテクチャ記述言語、アーキテクチャのために作られたものではないが、箱&矢印手法よりはずっとすぐれたUML2.0、繰り返し発生する問題に共通の解決策を示せるパターン、標準、リファレンスアーキテクチャ、メソッド、目に見えないものを視覚化することで理解を大きく助けてくれるメタファーなどといったものもある。

捕捉すべきは設計判断

 しかし、まだこれだけでは十分ではない。冒頭で、ソフトウェアアーキテクチャは重要な設計判断のセットであると述べた。実は、そこにはアーキテクチャを決定するための設計判断というものがある。アーキテクチャに関するナレッジとは、構造的な設計と設計判断から構成されたものなのだ。

 設計判断には、たとえば、データベースにはOracleを採用するといった何かを入れるというものもあれば、逆にInformixは採用しないという具合に何かを入れないというものある(Ontocrises)。また、ドライバはC言語で記述するといったソフトウェアのプロパティに関する設計判断(Diacrises)もあれば、システムの半分は大阪で、半分は上海で開発するといった、技術的な問題ではないが設計に大きな影響を与える経営的な設計判断(Pericrises)もある(図3)。

図3
図3

 これらの設計判断はそれぞれ属性を持ち、相互にさまざまな関係を持つ。たとえば、Javaを採用するという設計判断は、C++を採用するという設計判断と対立するといった具合だ。この設計判断はISO42010に取り入れられつつあり、4+1ビューモデルにも追加可能だが、実のところ、企業ではあまり取り組みが進んでいない。捕捉が困難で効果を得るのに時間がかかるからだ。

 そこで、設計ツールや要求定義ツールなどからの設計判断情報の自動取得、ツールでのサポートなど、いろいろ模索されているが、現状はまだまだ発展途上段階である。しかし、アーキテクチャナレッジ(AK)=アーキテクチャ設計(AD)+設計判断(DD)であり、設計判断の理解・尊重なくして、包括的なソフトウェアアーキテクチャの表現は難しい。

関連情報

今回のセミナーの講演スライド、および講演者を囲んで行われたワークショップの詳細はUMTPのWebサイトにて提供されています。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
Events & Seminars連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

吉田 育代(ヨシダ イクヨ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/2082 2010/05/11 11:47

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング