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2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

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及川卓也氏×横道稔氏が語る、「なんちゃってDX」に陥りがちな日本企業でリーダーが取るべき姿勢とは

外部登用されたIT人材を「お手並み拝見」する悪しき文化を解体できるか

巷にはびこる、外部人材を「お手並み拝見」する文化

 両者が掲げるような真のDX、デジタル変革を進めるには外部の知見を借りることも重要だ。昨今は、非IT企業がCDO(Chief Digital Officer)のようなCxOクラスの人材を外部から採用し、改革を進めるケースを目にすることも増えた。この点について、横道氏は「“お手並み拝見”する悪しき文化がある」と指摘する。

 「もともと中にいた人からすれば、外から来た人があれこれと進めるのに納得できないのは仕方ないことです。そのため『お手並み拝見』といったスタンスで手を貸さず静観し、なかなかうまくいかないケースも多いのではないでしょうか」(横道氏)

 目標を達成するには、「いかにして外部からの人材を生かすか」を中心に考え、フォローする体制を整えるべきだと同氏。たとえば、小さな成功を演出して周囲から信頼してもらえるようにする。あるいは、取り組みの背景をインプットすることなどが考えられるという。

 この点について、及川氏はアメリカの総合電機メーカーであるゼネラルエレクトリック(GE)の例を取り上げながら、以下のように言及した。

 「GEは当初こそDXに先進的な企業として話題に挙がっていましたが、改革派と旧組織の衝突が大きかったことから、DX推進が失敗に終わった企業の1つです。外部からの人材は組織を刷新する役割を持ちますが、それを融和する必要もあります。その難しさを理解して、招き入れる側も人選などを考える必要があります」(及川氏)

ITは「ナメられている」? 成功には“学び”も重要

 その他に、外部から人を招き入れてDXへと取り組む際の成功のポイントとして、「できるだけ多くの人を招くこと」と及川氏。デジタルスキルは専門領域だという理解が進んでいないことから、内部でどうにかする、あるいは外に丸投げするといったやり方がなくならないと現状を指摘した。

 新たな領域に足を踏み入れる場合、たとえば医療業界に参入する際には、医療に関する知見や経験を持った専門家を採用したり、意見を聞いたりするだろう。しかし、これがデジタル業界に視点を移すと実践されている事例が少ないと同氏は説明する。

 「要は、経営者を中心に多くの人がITを“ナメている”んだと感じています(笑)。そうならないために、非IT部門に所属するようなビジネスパーソンには『勉強しましょう』と伝えたいですね。最近はリスキリングも話題になっていますが、本来そんなことを言われずとも、自ら様々な分野のことについて勉強すべきです」(及川氏)

 特に、DXにおいて重要なプロダクトマネジメントの世界では、デジタルだけでなくビジネス、さらにはUXなど理解すべき内容が幅広い。すべてを完璧に理解する必要こそないものの、DXを先導する立場であれば、メンバーと同じ目線で議論する必要がある。外部からいかに優秀な人材を招いても、ビジョンを描き、課題を共有し合って取り組めなければ、成果は生まれない。

 「新しい概念が生まれると、現場やミドル層は実際に手を動かしているから詳しくなる一方で、経営者はどうしてもキャッチアップしにくいです。そうなると、現場は『上が分かっていない』、経営層は『現場がよく分からないことをいっている』となり、分断が生じます。リーダー層こそ、常に学ぶ姿勢を持つべきです」(横道氏)

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この記事の著者

鬼頭 勇大(キトウ ユウダイ)

フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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