生成AI投資が54%超:I&O部門の現状と課題
ガートナーがユーザー企業のインフラストラクチャー&オペレーションチームのリーダーを対象に実施した調査結果「Gartnerの2024年I&O Signature Role Survey」によれば、生成AIに投資しているとする回答が過半数を超えた。
「ITオペレーションの分野では、どの企業も長年にわたり解決に悩んでいる問題がある」とハイト氏は指摘し、「人手不足」「スキル不足」「インフラの複雑化」という3つの問題を挙げた。「異常検知など、AIOpsの領域でAIは以前から使われていたが、使いこなすために高度なスキルを必要としていた。冗談で、AIOpsを理解するにはAIが必要と言われていたぐらい、平均的なスキルを持つ人たちにとっては敷居の高い存在だった。その状況を変え、民主化したのが生成AIになる。インフラが複雑化するほど、維持のためのコストは増大する。もちろん、ツールやテクノロジーを使って負担を軽減することはできるが、使いこなすためのリソースやスキルが運用チームにとっての大きな制約になっていた」とハイト氏は解説した。
生成AIは裏の仕組みがわからなくても使える。過半数の組織の運用チームが生成AIを導入したのは、必ずしもツールを先行して導入していたからではなく、別の部署で成果を出したのを見て影響を受けたことが大きい。運用チームに近しい開発チームのエンジニアが、Copilotを使ってコーディングしているのを見て、同じようなことが自分たちにもできると考えた可能性をハイト氏は挙げた。もちろん、開発チームと同じ使い方をしているわけではないが、大きく「ナレッジの創出/アクセス」「データ分析/レポート作成」「コンテンツ作成/導入」のユースケースの利用が進んでいるという。
一方、「ITマネジメント・インテリジェンスのハイプ・サイクル:2024年」を見ると、生成AIは過度な期待のピーク期と幻滅期の間にある。
前述の3種類のユースケースは、ユーザーのスキルを拡張することが中心だが、ベンダーが製品機能の強化に生成AIを使うトレンドも見えてきた。とはいえ、ベンダーが価値を打ち出している部分は変わらない。今の製品カテゴリーニーズに応えることを優先しなければならないので、ベンダーは現在のGTM戦略を容易には変えられないためだ。オブザーバビリティの製品ベンダーであれば、オブザーバビリティの製品を利用中の顧客にLLMのユースケースを提供する。他のカテゴリーでも同様の傾向が見られるという。