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【ガートナー】エージェンティックAI時代のアプリケーション調達戦略/フランケンスタックの罠にはまらない方法とは?

ガートナー ジェイソン・ウォン氏 インタビュー

フランケンスタックを作らない、インテリジェントアプリケーションの実現に向けて

──ベンダーが変革の途中でも、ユーザー企業は自分たちの変革の歩みを止めるわけにはいかない。どこから始めるべきか。講演では複数の切り口を示していた。改めて紹介をお願いしたい。

 AIのように、どのベンダーもそれぞれが訴求したいアジェンダを持っている。企業はそのアジェンダに取り組むか、自社のビジョンと照らし合わせて評価する必要がある。「実践的な計画立案者」は、保守的な企業でその動きは遅い。この他に「迅速な追随者」、限界に挑戦する「意欲のある探求者」がいる。

図3:インテリジェントアプリケーションへのジャーニー 出典:Gartner(2025年6月) [画像クリックで拡大]

──3つのうち、数ではどこが一番多いのか。

 経験則的に「実践的な計画立案者」が6割、「迅速な追随者」が3割、意欲のある探求者」1割の比率になるのではないか。実践的な計画者に当てはまる多くの企業は、コンポーザブルアーキテクチャーから始めるべきだと思う。アーキテクチャーこそが、俊敏なテクノロジースタックを構築する基礎になるもの。硬直した基礎を維持したまま、新しいシステムを作ろうとしても、将来の崩壊は目に見えている。

──大多数がコンポーザブルアーキテクチャーから始めるのであれば、エコシステムの視点は非常に重要とわかる。他の2つはどうか。

 それから、イノベーターと競争するには、エクスペリエンスに力を入れるべきだ。たとえば、銀行が迅速な追随者であろうとするならば、最先端のテクノロジーを取り入れて、モバイルアプリやAIエージェントに投資をする。顧客にも従業員にも、自分たちが時代遅れの存在ではなく、イノベーターに追いつこうとしている姿勢を示さなければならない。一方、少数のイノベーターに向けては、コネクテッドデータから始めることを推奨する。彼らはコンポーザブルアーキテクチャーの基盤が整っていて、エクスペリエンスも優れている。そうなると、やるべきことの焦点は、データ品質の向上になる。合成データなど、より高度なデータ活用に取り組むことで差別化を図ろうとするだろう。

──それぞれで優先順位は違っても、最終的にはインテリジェンスアプリケーションを実現するべきなのか。

 基調講演では、反面教師として「(増改築を繰り返した)温泉旅館」「フランケンスタック(寄せ集めで複雑化したシステム)を紹介した。図4は、将来のテクノロジースタックについて真剣に考えているCIOに、全体像を示すためのもの。これは一夜にして実現できるものではない。このビジョンを実現するためには、ビジネス部門との連携も重要になる。昨今、ビジネス部門はテクノロジー導入で従来よりも多くの予算と権限を持つようになってきた。既存のアプリケーションのオーナー部門でもある。CIOには、ビジネス部門との関係強化を通して、フランケンスタックに陥らない次世代のテクノロジースタックの構築に貢献してほしい。

図4:次世代エンタープライズアプリケーションのビジョン 出典:Gartner(2025年6月) [画像クリックで拡大]

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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