
Hewlett Packard Enterprise(HPE)は6月23日から3日間、米ラスベガスで年次イベント「HPE Discover Las Vegas 2025」を開催した。分社から10周年の節目となる今回、同社はIT運用のAIエージェントフレームワーク「HPE GreenLake Intelligence」の発表を軸に、「ネットワーキング」「ハイブリッドクラウド」「AI」という、3領域での差別化戦略を示した。
10周年迎えたHPE、ロゴも刷新 AI時代に向けた決意示す
「HPEは、独立企業としてオペレーションを開始してから10周年を迎える。創薬、ゲノム解析、グローバルな金融サービス、電気通信システム……われわれのイノベーションは、世界をより良いものにすることに貢献してきた」──基調講演のステージに立ったHPEのCEOを務めるアントニオ・ネリ(Antonio Neri)氏は、こう切り出した。

HPEは2015年、Hewlett Packardから分社。PCとプリンターを核とするHPと袂を分かち、エンタープライズ向けのシステムベンダーとして再出発した。当時、分社化を指揮したメグ・ホイットマン(Meg Whitman)氏のブレインとして同社の戦略を練っていたのがネリ氏。ホイットマン氏の後を継ぎ、2018年にCEOに就任した。1995年にカスタマーサービス担当として当時のHewlett Packardに入社以来、そのキャリアを捧げてきた生え抜きのCEOだ。
HPEの年次イベント「HPE Discover Las Vegas 2025」の基調講演は、昨年に続いて2回目となるラスベガス「Sphere」が会場となった。ネリ氏は、新たなブランディング戦略とロゴを披露するとともに、IT運用のAIエージェントフレームワーク「HPE GreenLake Intelligence」、クラウドオペレーションソフトウェアの「HPE CloudOps Software suite」、NVIDIAと進めるAI Factoryポートフォリオの拡充などを発表。「われわれは現在、新しいルネッサンスである『AI時代』の入り口にいる」と述べ、生成AIやエージェントAI、物理AIなどの形でAIが産業・社会に広がっていくとの予想を示した。
そうしたAI時代の本格的な到来に備えるためには、ITのモダナイズが必要だ。HPEでは、「ネットワーキング」「ハイブリッドクラウド」「(インフラ向けの)AI」という、3つの要素が必要だとしており、ネリ氏は「AIは、データとインフラなしには効果を発揮できない。ITの土台を整えることが重要だ」と訴える。

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末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)
フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。
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