AIエージェントアプリケーション開発者のためのAuth0、セキュリティを強化してもユーザー体験を犠牲にしない
Oktane 2025 レポート#02
ユーザーに負荷をかけない安全な連携を実現するAuth for MCP
Auth0 for AI Agentsは、ラムジ氏が最初に挙げた要件の1つ「製品にAIを導入する」に役立つソリューションと言えるだろう。しかし、もう1つの要件「製品をAIレディにする」では、他の社内エージェントや外部エージェントとの連携の準備が求められる。そのために役立つのが、Anthropicが開発したModel Context Protocol(MCP)である。
複雑なタスクを実行するAIエージェントアプリケーションには、LLMの文脈理解が重要になる。以前は標準がないため、CRMアプリケーションだけでなく、メールやカレンダーのような他のアプリケーションにAIエージェントを接続させたくても、別々の接続手法に対応しなくてはならなかった。この状況を変えたのがMCPである。MCPがアプリケーション同士の連携を支えることで、AIエージェントは人間と同様に多くのアプリケーションを使いながら、仕事を進められるようになった。

AIエージェントのスキル拡張の簡素化に役立つと評価され、MCPは標準プロトコルとして急速に導入が進んでいる。「アプリケーションをAIレディにするためにMCPを利用することは最初のステップであり、安全にMCPを利用することもまた最初のステップである」と、バウナ・シン氏は語った。

まず、MCPクライアントは、AIエージェントがLLMと対話する時のインターフェースになる。そしてツールに入力したプロンプト、アプリケーションやデータの文脈をMCPクライアントに提供するのがMCPサーバーである。MCPサーバーはAPIであるため、セキュリティリスクがある。許可された範囲を超えてアプリケーションやデータを呼び出すため、MCPクライアントにもセキュリティリスクがある。大事な資産を保護した上で、AIエージェントの能力を引き出せるよう、Oktaは顧客、パートナー、MCPコミュニティと協力し、MCP連携にアイデンティティ管理を取り入れたAuth for MCPを提供することにした。
シン氏は「安全でシームレスなユーザー体験を実現するAuth0の原則をMCPサーバーにも適用することにした。顧客向けのアプリケーションから、社内向けアプリケーション、パートナーアプリケーションとの連携まで、あらゆるユースケースに対応する」と述べ、Auth for MCPがAIエコシステムを強化し、信頼性の高い安全なAIエージェントを構築する方法になるとした。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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