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楠正憲 10年代の情報社会論

ガラパゴス携帯の閉塞とSIMロック規制の行方

第2回


iPadを皮切りにSIMフリー端末が普及すると期待されたが、蓋を開けてみると・・・。国内のSIMロックを巡る議論は、どのようなかたちに落ち着くのだろうか?

唐突な公開ヒアリングとSIMロック解除

 4月2日、総務省はSIMロック解除へ向けたヒアリングを実施し、携帯事業者各社や消費者団体からのヒアリングを受けて内藤副大臣が「ユーザーからの求めがあればSIMロックを解除する、という点で合意できた。早急にガイドラインを策定したい」と引き取った。 

 今回の公開ヒアリングは、2007年のモバイルビジネス研究会での検討を受けてのものという触れ込みである。モバイルビジネス研究会では、端末販売奨励金の見直しを提言する一方、SIMロック解除は次世代方式が導入される2010年を目途に改めて検討するとしており、年内にはLTE(Long Term Evolution)が導入されることを踏まえると、春から議論を始めたのは既定路線ではあった。 

 とはいえモバイルビジネス研究会では、1年近く議論して先送りを決めたSIMロック解除を公開ヒアリングの即日で結論を出すのはいささか拙速ではある。各社ともSIMロック解除に対して全面的に賛成している訳ではなく、今後ガイドラインを検討する過程で現実的な落としどころが探られることになろう。

 5月26日に公表されパブリックコメントに付されたガイドライン案では、「平成23年度以降新たに発売される端末のうち、対応可能なものからSIMロック解除を実施する。」としてSIMロック解除の一律義務化は見送られたが、報道によると「状況を注視し法制化も検討する」としており、SIMロックの解除が進まない場合に改めて強制解除が検討される可能性も考えられる。

SIMとSIMロックの歴史と背景

 SIMとはSubscriber Identification Moduleの略で、ケータイに挿入されている電話番号など加入者情報の格納された小型ICカードだ。欧州の第二世代携帯電話であるGSMで導入された。日本ではドコモの第三世代携帯電話から採用され、現在ではPHSを除く全ての携帯電話で利用されている。

 このカードを差し替えることで、加入契約している端末から別の端末へ簡単に移せる仕様となっている。ところが日本では一部の例外を除いて別事業者のSIM (auの場合は別加入者のSIM) を差しても動かない。これがSIMロックである。 

 日本で最初からSIMロックがかけられた背景としては、もともとドコモはi-mode、auはEZWEBなど各社でメールやネット接続の仕様が異なり、SIMを差し替えても多くの機能が正しく動作せず混乱を招きかねなかった上、携帯電話事業者が回線獲得のために多額の端末販売報奨金を積んでおり、数万円の補助で安く購入した携帯電話で、すぐにSIMを差し替えてキャリアを移されてしまうと、大幅な赤字となってしまう事情もあった。

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モバイルビジネス研究会での論点

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この記事の著者

楠正憲(くすのき まさのり)

マイクロソフト 法務・政策企画統括本部 技術標準部 部長1977年、熊本県生まれ。ECサイト構築や携帯ネットベンチャー等を経て、2002年マイクロソフト入社。Windows Server製品部Product Manager、政策企画本部技術戦略部長、技術統括室CTO補佐などを経て2009年より現職

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/2340 2010/05/31 18:19

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