業務単位など、アプリケーション視点で仮想化環境を管理
刻々と変化するビジネス環境の中で、企業が持続的に成長するには、変化に即応したビジネス戦略の実行が必要だ。当然、企業の各部門がITに求めているのも変化への素早い対応であり、ITリソースを柔軟に有効活用する手法として、仮想化技術が注目されている。
ここで注目したいのは、仮想化技術やクラウド技術によるスピーディなIT活用の実現によって、アプリケーションのライフサイクルが短くなる点だ。業務部門の要求に合わせて俊敏にシステムを変更し、不要になったものを迅速に破棄するための仕組みを整えておく必要がある。
もちろん、仮想化環境だからといって、信頼性や可用性をおろそかにして良いわけではない。従来どおりの物理環境の運用を行いながら、仮想環境についても品質を担保する必要があるため、情報システム部門の負担は必然的に増加するだろう。
そこで検討したいのが、日立製作所のWebアプリケーションサーバ「Cosminexus」だ。2010年2月にリリースされた最新版V8.5では、仮想化技術に関する機能が強化された。ソフトウェア事業部第2AP基盤ソフト設計部 部長の尾花学氏が「リソースの最適化とシステム安定稼働の実現」を目指して追加したと語る新機能について見ていくことにしよう。
仮想サーバマネージャ
V8.5で追加された新機能の一つが「仮想サーバマネージャ」だ。これは、業務アプリケーション単位で仮想サーバやそれらが稼働する物理サーバを「管理ユニット」としてグループ管理する機構。これまでのように、仮想サーバを個別に管理する場合と異なり、業務アプリケーション単位で仮想サーバの構築や運用の指示を一括で行えるため、システム管理者の負荷が軽減される。
また、管理ユニットでは、仮想サーバが稼働する物理マシンも紐付けて管理するため、物理サーバに問題が発生した際のアプリケーションへの影響を迅速に把握できるようになる。
具体的には、OSとアプリケーションの基本的な関係を定義したイメージと仮想サーバマネージャを用いて、必要最低限の情報を業務単位で一括してデプロイする。もちろん、すべてをパターンに当てはめるのは不可能だが、その部分についてはテンプレートなどを用い、別の定義を合わせて入れることで対応する。実際の適用効果だが、たとえば32台の仮想サーバを構築し、クラスタ構成にする作業において所用時間を実測したところ、V8.0の10分の1に短縮できたという。
支援機能はその他にもある。必要に応じてスケールイン・スケールアウトできる柔軟性が仮想化の魅力のひとつだが、多忙な運用管理者が変更の度に手動で対応するのは非効率的だろう。スケールアウトには、マスター複製、環境設定、デプロイ、負荷を分散するロードバランサ加入など作業項目が多く、複雑な運用対応が必要なためだ。
しかし、Cosminexus V8.5の「仮想サーバマネージャ」でテンプレートを指定すれば、一操作で簡単にスケールアウトできる。さらに日立製作所の統合運用管理ソフトウェアJP1と組み合わせれば、負荷に応じたスケールアウトを自動化するなど、よりスムーズな運用が可能になる。
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