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RHELはそのまま、サポートだけSUSEへ──みずほ銀行が移行ゼロで断ち切った、レガシー運用のベンダーロックイン

「SUSECON 2026」 みずほ銀行インタビュー

プラハで開催されたSUSECON2026でのCustomer Award受容式の様子(右端から6列目が森氏、佐々倉氏)

RHELはそのまま、縛りだけ捨てる──移行ゼロでベンダーロックインを断ち切るMLSの仕組み

──SUSEから提案を受けた際、MLSの仕組みをどのように理解されましたか。

 SUSEの日本のカントリーマネージャーの渡辺様から説明を受けて、まず驚いたのは「既存の環境には何も触らない」という点でした。RHELをそのまま使い続けながら、保守だけをSUSEに切り替える。移行作業はゼロで、継続性はそのまま担保されると。

 脆弱性が発見された場合はSUSEに連絡すれば対応パッチを作って提供してもらえる、という形です。OS更改に追われることなく、セキュリティも担保しながら行内の課題を整理する猶予が得られる。私どもが抱えていた複数の問題を、一度に解決できる提案でした。

──「競合するRHELのパッチをなぜSUSEが作れるのか」という疑問は社内でも出ませんでしたか。

 出ました。渡辺様に確認したところ、LinuxはオープンソースであるためSUSEもソースコードを把握しており、35年にわたる技術者の蓄積があるからこそ対応できるとのことでした。提供されるパッチはRHELとバイナリレベルで互換性を保つ設計になっていて、アプリケーションの動作に影響しないという説明を受けて、行内での懸念もクリアになりました。みずほとしての判断というより、SUSEが技術的に保証する部分ですので、その言葉を信頼して進めた形です。

──導入を決めるまでの社内のプロセスはどのようなものでしたか。

 最初は正直、「OS更改もなしにサポートだけ切り替える」という提案に戸惑いがありました。「OSは新しいものに替えていくもの」という意識が社内にもあったので。ただ内容を詳しく聞き、行内で議論を重ねた結果、これが最適だという判断に至りました。提案をいただいてから方向性を固めるまでが1〜2ヵ月、社内調整と条件面の交渉を含めてトータル約3ヵ月で導入を決定し、2025年11月からサービスの利用を開始しています。

15年の実績が背景に──SUSE製品との信頼関係が、切り替えの現実解を生んだ

──SUSEとみずほ銀行の関係は今回が初めてではないと伺っています。

 そうです。SLES(SUSE Linux Enterprise Server)がIBM Zの上で15年以上にわたって稼働しています。個人向け・法人向けの両方で採用されているミッションクリティカルな環境です。私自身も以前その環境を担当しており、当時の最新版のSUSE Linux導入を手がけていました。ですので、今回のMLSの提案を受けた際も、社内でのギャップはほとんどありませんでした。

──ヨーロッパ系の企業が日本の金融機関にアプローチする際、文化的な違いへの懸念が障壁になるケースがあると聞きます。今回はいかがでしたか。

佐々倉 ありませんでした。15年の運用実績と、そこで積み重ねてきた信頼関係が背景にあったことが大きかったと思います。サポートも円滑にいただいてきた経緯がありましたので、警戒や抵抗の声は社内から出ませんでした。

──導入の推進体制について教えてください。

 私どもプラットフォームエンジニアリング部は、主に勘定系以外のシステム基盤を主管しています。アーキテクチャの設計はより上位の企画系部署が担い、そのロードマップに従って私ども現場チームが基盤の構築・移行・アプリケーションとの調整を進めていくという体制です。OS更改プロジェクトのために割いていたリソースを、こうした戦略的な検討に振り向けられるようになったことが、今回の導入の大きな意義の一つでもあります。

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移行しない今だからこそ、攻めに回れる──10年ロードマップが描く、ベンダーロックインなき未来

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZine/AIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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