普及が進むスマートフォンとHTML5の新機能
世の流れを受けてか、クラウドとスマートフォンを組み合わせて何ができるだろうか、という議論が著者の周囲でも増えている。特に、iPhoneブームもやや落ち着き、ドコモやauも本格的なスマートフォン端末を出す動きが発表されたこともあり、業務用途でスマートフォンを使って、何か新しいことができないかという、事業用途の検討が各所で交わされ始めている。
家電やこれまでの携帯電話と比較して、PCは出来ることが多い半面、利用者に要求するリテラシーが高くなってしまう側面があるため、スマートフォンがこのトレードオフをいい方向に、つまり“使い勝手が簡単で、高度な作業が分かりやすくできないか”という方向に改善されるのでは、という期待が持たれるのは実に自然な流れである。
しかし、スマートフォンへの期待値としては分かるのだが、実装レベルまで見ていると本格的に業務用途で使うには不十分な点や、機能実装がまだはっきりしない点、利用場面、使い分け、現場実用性などニーズ的な側面もあるが、セキュリティ面についてHTML5の新機能と合わせて考えてみよう。
HTML5とは、次世代のHTMLとして標準化が進められている最新の仕様だが、まず、HTML5で可能になったことして各種のプラグイン強化などと並んで、ローカルのストレージやキャッシュの利用拡大が挙げられる。つまり、Web型のクライアントサーバーシステムのような進化を辿りつつある。
例えば、ネットワーク側やクラウド側にあるアプリケーションの一部やデータをローカルに一時置いておくことで、ネットワークアクセスとの最適化を図りつつユーザーのサービス利用体験を高めようという用途が想定される。 HTML5についての仕様検討の議論を見ていると、ローカルファイルを開くことで、ローカルクライアントではなく、ウェブサービスが開くという利用方法の議論が行われていたりもする。
つまりは、イメージファイルを開くとFlickr(フリッカー)が起動したり、エクセルファイルを開くとGoogle Spreadsheetsが(ブラウザ経由で)立ち上がったり、という作りのイメージだ。 クラウド的な(あるいは、SaaS的な)Webアプリケーションが広がることを考えると、この手の発想が出てくるのは自然な流れと言えるだろう。(次ページへ続く)