「The Microsoft Conference + Expo Tokyo」開催
マイクロソフトのクラウドコンピューティング(以下、クラウド)に関する最新情報を紹介するイベント「The Microsoft Conference + Expo Tokyo」が11月25日から26日にかけて、ザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)で開催されている。2日目の基調講演では、マイクロソフト 執行役の大場章弘氏から、クラウドを中心とした同社の最新テクノロジー動向が紹介された。
最新クラウド技術がもたらす可能性
講演では、マイクロソフトの最新クラウド技術がもたらす可能性について、「利用者」「IT部門」「開発者」と大きく3つの視点でプレゼンテーションが進められた。本稿では利用者向けと開発者向けの話題にフォーカスして紹介する。
まず、利用者の視点として大きく強調された技術が、「Windows Phone 7」だ。スマートデバイスは今後ソーシャル活用の形でクラウドとの接点が増えていくとし、最新のスマートフォンやスレートPC(タブレット型のPC)の実機によるデモで、SNSでのソーシャル情報を活用しながら、スムーズなコミュニケーションが行える様子が示された。特にFacebookとの協業は大きくアピールしており、オンラインサービスの「Windows Live」やOutlookでの連携例が実演された。ソーシャル&モバイルの技術情報を集約したFacebookのファンページも紹介された。
Windows Azureにまつわるソーシャル活用事例の一つとして、日本デジタルオフィスによるユーザー参加型電子書籍&分析サービス「J!BOOK」が紹介された。読むだけでなく、読者がフィードバックしたり、読者同士がコミュニケーションを取れるソリューションで、コアとなっている技術はSilverlightの「Deep Zoom」。コンテンツはPDFをWindows Azureに配置する形で、ページ閲覧数やアンケートの集計の他、ヒートマップやアイトラックなどの情報も得られるように工夫されている。
また、ソーシャル&モバイルの視点では、デバイスの操作性部分に注目しがちだが、スケーラビリティといったバックエンドの技術の重要性も指摘。それを支える技術として、Windows Azure上でハイパフォーマンスコンピューティング用のWindows HPC Serverのインスタンスを簡単に立ち上げて追加できる様子や、東工大のスパコン「TSUBAME2.0」の事例などが紹介された。東工大の松岡聡教授は、TSUBAME2.0が最新GPUなどのハードウェア活用と、クラウド型の構成で低電力・高性能を実現していることを紹介し、今後は仮想化を活用したOSを動的に変更する「動的プロビジョニング機構」の手法を確立していきたいと展望を述べた。
IT部門の技術者向け視点では、クラウド拡張に伴う不安、IDの相互運用に伴う管理の問題、デスクトップ環境の仮想化という項目を中心に、Active Directory Federation Services(ADFS)、AppFabricのAccess Control Service(ACS)、Remote FXをいった技術を活用して、ハイブリッドクラウドを実現するための道筋が紹介された。