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クラウド、スマートフォン、電子書籍、ソーシャル―続々と生まれるトレンド構造の全体性を把握するための要件

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新規事業開発案件は、筆者が各所で定期的にお手伝いさせて頂いているテーマである。明日の飯のタネを確保するため、あるいは環境適応を適切に進めないと競争から振り落とされる可能性が出てくることから、クライアント側でも腕の立つ人材が検討メンバーに選ばれ、知恵と体力をぶつけ合いながらやるべきことを見定めていくという日々を過ごすことが珍しくない。

トレンドを理解することとは何か?

 新規事業開発案件は、筆者が各所で定期的にお手伝いさせて頂いているテーマである。明日の飯のタネを確保するため、あるいは環境適応を適切に進めないと競争から振り落とされる可能性が出てくることから、クライアント側でも腕の立つ人材が検討メンバーに選ばれ、知恵と体力をぶつけ合いながらやるべきことを見定めていくという日々を過ごすことが珍しくない。

 こうした場面で、よく話題に上るのは、次に盛り上がる市場やビジネステーマといったところであるが、このところ議論になっているのが「トレンドを理解する=最新キーワードと最新サービスに詳しい」という認識は本当に正しいのかという疑門だ。

 映画「ソーシャルネットワーク」が封切られたこともあって、業界誌やテレビに至るまで「いまFacebookが旬」、「ビジネスの秘密はこうだ」、「ブームに乗り遅れるな、早く活用しよう」といった声があちこちで響いている。ここ最近、ソーシャルをテーマにした解説記事やイベントレポートを目にすることがあまりにも多い。

ソーシャルをテーマにした議論が活況だ 
出典:ソーシャル・ネットワーク - オフィシャルサイト
ソーシャルをテーマにした議論が活況だ

 少し前を振り返ると、「Twitterはキャズムを超えるのか?」云々という議論をしていたことを思い出す。月間の訪問者数が1000万人を超えたとのニールセン調査が発表されたのが2010年の8月。つい半年前の話しである。

 こういうサービス間の栄枯盛衰を見ていると、この業界のサイクルはめまぐるしい。「次々となんか新しいものが出てきて、もうついていけないよ・・・」という声が業界外から聞こえてくるのも納得できる。

 もう少し遡れば、SNSがmixiの天下だと言われていた頃から、DeNAとGREEがモバイルとソーシャルゲームというフィールドに勝負を持ち込んで逆転したのも、そう以前の話しではない。現在の状況は、めまぐるしいと感じると同時に、ある程度業界を見ている人であれば、似たようなことを繰り返しているようにも見える。コミュニティを切り口とした議論とサービスが形を変え出てきては落ち着き、というサイクルはパソ通、BBS、Blog、SNS、ソーシャルという流れで何度となく見てきたところだろう。

 また、中のユーザーが引き起こす”ネチケット”的論争は、それぞれごとに繰り返されてきた既視感に満ちた定例イベントであり、「訪問したらコメント残すか否か?」「トラックバックの返礼どうする?」「荒れたら掲示板ごと落とす」「炎上したらアカウントごと消してしまう」といった議論は、細部が異なるものの類似性のある形で4周から5周過ぎたところである。

 「BlogやSNSから次はソーシャルだ!」と言われると、古いものはもうダメで新しいものが入れ替わりにやってきたかのような気分になる。しかし、実際のところを見回してみると単純な入れ替わりが起きているものでもなく、使い分けや併存が起きているのが現実である。単純に、次の最新はこれです、という単線のトレンド構造になっているわけではない。(次ページへ続く

 

次のページ
“電子書籍”というネーミングの功罪

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この記事の著者

渡辺聡(ワタナベ サトシ)

神戸大学法学部(行政学・法社会学専攻)卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。独立後、個人事務所を設立を経て、08年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。現同社代表取締役。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなど幅広くコンサルティングサービスを提供している。主な著書・監修に『マーケティング2...

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