不安はあるものの、「従来通り、むしろ従来以上」の約束も
日本オラクル MySQL Global Business Unit Asia Pacific & Japan担当 MySQL Principal Sales Consultantの梶山隆輔氏は、セミナーの冒頭でこう語った。2011年5月11日、日本Oracleは「MySQL 最新ロードマップセミナー 2011 東京」を開催した。
講師を勤めた梶山氏は、Oracleに買収された当初はこの先どうなるのかと不安だったと当時を振り返る。とはいえ、その後、米国Oracle本社からは、「従来通り、むしろ従来以上に開発を行い製品を提供していく」ことが約束され、OracleとMySQLを共存させ、相互補完して利用できるようにするとのメッセージが出ているとのこと。
Oracleによれば、MySQLの推奨される適用範囲として挙げているのが、Webベースのアプリケーション、部門レベルで利用するアプリケーション、そして組込みのアプリケーションだ。組込みはすでに実績のある分野で、たとえばAdobe CSシリーズにおいてはMySQLが含まれており、ユーザーは知らないうちにMySQLを利用している。フットプリントの大きいデータベースでは適さない用途には、これからも積極的にMySQLを推奨していくようだ。
Oracleとして初のメジャーバージョンアップ MySQL 5.5
そのような動きの中、2010年12月にはOracleとして初のメジャーバージョンアップ MySQL 5.5の提供が開始された。この最新版を顧客やユーザーコミュニティはどのように捉えたのだろうか。
「前バージョンのMySQL 5.1の最初の製品は、残念ながら多くのバグを含んだものでした。今回、メジャーバージョンアップとして最初の製品を提供したわけですが、従来よりも格段に製品品質が上がっています。そのことは、顧客やユーザーコミュニティも評価しているポイントです」と梶山氏。
メージャーバージョンアップした際の最初の製品は使わない、というのはソフトウェア製品ではよくあることだ。MySQLもこれまではそういう傾向が強く、最初の製品には多くのバグが潜んでいることがあったとか。それが、さすがに商用エンタープライズソフトウェアで世界No1企業の製品となったおかげで、開発、テストの品質チェックは、Sunの時代よりも格段に厳しくなっており、結果として確実に製品品質は向上している。
「買収直後から、顧客やユーザーコミュニティの人に会うと、いま、どうなの?というのが定番のあいさつでした。それに対する私の応えが、5.5が出てからは確実に前向きなものになりました。」(梶山氏)