連携の第一弾はSAP ERP on Sybase ASE
独立企業としての経営を続けていく一方で、今後はSAPグループの一員として共に戦略的な製品展開を行っていく機会が増えるのは間違いない。その第一弾が5月に行われたSAPの年次イベント「SAPPHIRE」で発表されたSAP ERPとSybase ASEの連携だろう。
SAP ERPのデータベースエンジンをASEに置き換えるというプランで、年内にもグローバルでスタートする予定だという。これにより、SAP ERPとASEは今後、緊密に連動した形で製品開発/リリースが進められていくことになる。
SAP ERPのユーザはこれまでデータベースにOracleを利用することが多かったが、今回のASE採用により、Oracleからの移行案件が数多く発生することが予想される。早川社長は「マイグレーションは我々(Sybase)のプロフェッショナルサービスの仕事にもなる。日本でも同じ。移行をスムーズに運ぶためのツールをきっちりと提供していかないと」と意欲を見せる。
SAPは業務アプリケーション分野でOracleとライバル関係にありながら、フラグシップ製品であるSAP ERPにおいてデータベースではOracleに頼らざるを得ないというジレンマを抱えていた。SAPがSybaseという強力なポートフォリオを得た今、業務アプリケーションとデータベースの双方の勢力図に大きな変化が生じる可能性が高くなってきたといえるだろう。SAPはSAP Business Suiteアプリケーション向けにSybase ASE認定を認定する方針を示しており、今後さらにソリューションの垂直統合化が加速すると思われる。