さらなる時短には密結合アプライアンスという選択肢も提供
HPが提供するのは、疎結合のアプライアンス製品だけではない。すでに3月にはマイクロソフトとの協業による、分析に特化したHP Business Decision Applianceと、エンタープライズ向けデータウェアハウス製品である、HP Enterprise Data Warehouse Applianceという2製品の提供を行っている。これに加え今回、HP Vertica Analytics SystemとHP Business Data Warehouse Applianceという2つの製品が新たに提供開始される。
HP Vertica Analytics Systemは、HPが3月に買収した大容量データのリアルタイム分析に特化した製品Verticaを組み込んだアプライアンスだ。Verticaは2006年から製品を提供しており、TwitterやGROUPONなど、市場でも多くの実績があるとのこと。今回のアプライアンスでは、HP BladeSystemにVerticaをあらかじめセットアップしている。用意されているのはクオーター、ハーフ、フルラックの3種類。OSはRed Hat Linux、データ容量10テラバイトのVerticaのライセンス、ハードウェア、ソフトウェアの1年間のサポート費用を含んだクオーターラック構成の費用は、1億1606万4900円(税込み)となる。
「Oracle Exadataとは構成も異なり同等製品という定義は難しい」と前置きした上で、「Oracle Exadataよりも確実に安くなる」と語るのは、エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 ビジネスクリティカルシステム製品本部 製品企画部 担当マネージャの寺崎 孝氏。
Verticaのライセンスは、データ容量の増加に応じ増える。そのため、サーバーを追加しても、それだけならばVerticaのライセンスを増やす必要はない。これは、EMCのデータウェアハウス製品Greenplumと同様だ。HP Vertica Analytics Systemは、クオーター、ハーフ、フルというように段階を追った拡張は必要なく、顧客ニーズに応じ柔軟な拡張ができる。
そして、今回のアプライアンス製品には、なんら特殊なハードウェア技術は使っていない。極めて高い処理性能は、カラム型データベース、データ圧縮、MPPというソフトウェアの工夫によるものだ。そのため、従来通りにソフトウェアだけでも、Verticaのメリットは享受できる。
ちなみに、速さを強調する事例として、あるヘルスケア企業において2年間分の加入者データ分析に用いていた検索処理が、従来のOracleデータベースでは37分6秒、Verticaでは2.78秒に短縮できたとのこと。およそ800倍の速度になったことになる。Verticaのもう1つの特長として、アクセス方法にSQLが利用でき、JDBC経由での接続も可能なため、既存のBIツールがそのまま利用できることも挙げられる。