移行をきっかけに新たな情報活用基盤構築の提案を行う
「GoldenGateは移行のためだけに活用するツールではない」と佐藤氏は言う。GoldenGateを使うことで、ほぼリアルタイムにデータベースを複製できる。それを活用して、たとえば、負荷が高まった基幹系のシステムとは別に、BI用の読み取り専用のデータベースを追加することも容易だ。
ETLツールなどを使って別途、BI用にデータウェアハウスやデータマートを作るとなると、まず基幹系データベースから必要なデータを抽出し、それをバッチ処理などでBI用データベースに適用することになる。この方法では、BI用のデータベースは、バッチ処理のタイミングでしかデータ更新されない。そのため、1日前あるいは数時間前といった、過去のデータの分析しかできない。これがGoldenGateであれば、ほぼリアルタイムにデータが更新されるので、まさに今の状況を分析できるリアルタイムBIが可能となる。
「移行の際にだけGoldenGateを使うのではなく、移行後も使い続けることが考えられれば、移行をきっかけに新たな価値をシステムに生み出すことができます。」(吉田氏)
たとえば、GoldenGateは、LANだけでなくWAN経由でも利用できる。遠隔地の間で同期すれば、災害対策システムを構築することも可能だ。
NTTデータ先端技術では、OracleがGoldenGateを買収した直後の、2010年6月から検証作業を開始している。これは国内でも、もっとも早い取り組みだという。すでに同社には、GoldenGateを顧客案件に適用した事例もあり、活用するためのノウハウとスキルが十分に溜まっているとのこと。
「GoldenGateは、基本的な使い方であればそれほど難しいものではありません。とはいえ、レプリケーションが遅延した場合のチューニング方法や、トラブル発生時にはGoldenGateとOracleデータベースの双方に対する深い知識が必要とされるため、それなりのスキルが要求されます」(佐藤氏)
そして、「今後は規模の大きな移行案件やバージョンを飛び超えるような場合に、GoldenGateを提案する機会が増えると考えています」と吉田氏。移行後のGoldenGateの活用も含め、今後はより幅広い提案をしていくことになるという。
さらに、最近では移行先のデータベースとして、Oracle Exadataを選択する例も増えている。「複数のデータベースからExadata 1台に集約するようなニーズが高まっています」と佐藤氏。こういった移行の際にも、GoldenGateを使えば、移行やデータベースの統合は容易に実現できる。NTTデータ先端技術では今後、GoldenGateの活用だけでなくExadataを組み合わせた幅広い情報活用のためのシステム基盤提案をしていくとのことだ。
NTTデータ先端技術 オラクル事業部 技術担当 マーケティンググループの吾郷祥子氏は、同社の特長として、「マルチベンダー、マルチプラットフォームへの対応」「先進的な技術の追求」を挙げる。
中でもオラクル事業部は、Oracle製品に特化した技術部隊。ERP関連を除く、すべてのOracle製品を取り扱っている。2010年4月には、オラクル社内に共同サポートセンターを開設し、顧客トラブルの早期対応も可能な体制を2社で用意した。
Oracle製品を活用したシステム基盤の提供を行う際に、企画、設計から運用、サポートにいたるシステムのライフサイクル全般を提案、サポートできるのも同社の特長だ。
さらに、同社ではよりよい提案のために、Oracle製品の検証などを積極的に実施している。そのための施設として、2011年4月には月島ソリューションセンターを開設。各ベンダーから提供されたハードウェアを備えており、それらを利用し検証作業はもちろん、各種デモの構築などをすぐに実施できる環境が整っている。月島ソリューションセンターには、デモルームに加えトレーニングセンターも用意されており、実機デモを取り入れた各種技術的なセミナーも開催している。
「Oracle製品が提供する1つ1つの機能にフォーカスすると言うよりは、データベース移行など市場ニーズに合ったテーマでソリューションを提供しています」(吾郷氏)
Oracle製品について技術的に精通するのはもちろん、その機能をどのように活用すれば顧客の課題を解決できるかを目指し、仮想化、サーバー統合、クラウド、エコなどの各種サービスメニュー開発を行っている。
同社では、システム基盤に関する最先端技術の検証活動やソリューションの開発を行い、ソリューションを顧客に展開してきた実績を通し、今後も積極的に顧客のビジネスに貢献していくという。
TEL:03-5843-6897
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