サーバー出荷数の増加がデータベースの増加につながらない
今回IDCから発表された数字は、2011年4月末に予測が立てられた。「当時は、震災直後でサーバーの出荷が止まっていました。震災の影響で、メーカーが物理的にサーバーを作れなかったこともあり、サーバーの出荷は今後全体として落ち込むことが予測されました」と赤城氏。ところが、4月から6月にかけ、サーバー出荷の実績は意外に良かったとのこと。
「今後の調達の不安から、企業が下半期に予定していたサーバーのリプレイスを前倒ししたと考えています。買い控えの逆現象が起こったのです。さらに、7月から9月に予測された電力不足の前に、新しいサーバーを調達したいという思いもあったかもしれません」(赤城氏)
4月から6月にかけ好調だったサーバーの動きに、データベースを結びつけて良いのか。それは、ちょっと疑問なところもあるとのこと。今年度予定していたIT投資の順番を変更し、直近の課題として上がってきた災害対策やBCP(Business Continuity Plan)などに無理矢理振り替えたことによる増加ともとれるからだ。
災害対策やBCPに投資できるようになった背景には、上場企業へのIFRS(国際会計基準)の強制適用時期が延期となったこともありそうだ。グローバル企業などでは待ったなしだが、国内ビジネスが主流の企業では一旦IFRS関連の投資を止め、そのぶんをBCPなりに投資する動きがあるようだ。そういったことから「4月から6月のサーバー出荷数は良かったのですが、7月以降もその傾向が続くのかというとかなり不透明です」と赤城氏は言う。
また、赤城氏は今回大きな被害を受けた東北地域のITビジネスの縮小は、それほど大きくないのではと予測する。対して、今後明らかに落ち込むのが、メインフレーム関連のビジネスだ。メインフレームのビジネスは、公共系の投資に支えられていた部分が大きく、その部分は明らかに災害復興に振り分けられる可能性が高いからだ。メインフレーム上のデータベースビジネスについては、今後しばらくは厳しい状況が予測できる。
データベースにとってもう1つ厳しいのが、顧客企業のシステム統合の動きだ。統合化案件が市場で活性化しても、データベースのライセンスは増えない、むしろ減るかもしれないからだ。さらに、クラウド環境で提供されるデータベースサービスも、少なからずライセンス販売の拡大に影響を与えるだろう。「新規プロジェクトにおいては、震災後にはクラウドサービスを選択する動きが出てくると考えています」と赤城氏。さらには、オープンソースのデータベース製品の伸張も、それなりに商用データベース市場に影響を与えるだろうとのことだ。