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クライアント仮想化最前線

セキュリティ対策から事業継続まで導入が拡大するクライアント仮想化

2011年クライアント仮想化最新動向


クライアント仮想化の導入が本格化しつつある。かつてはセキュリティ対策やパンデミック対策といった受け身の導入が目立ったが、クライアント仮想化を戦略的投資として真剣に検討し直す企業が急増している。また、東日本大震災の発生後、各社がBCP/BCMの見直しを図る中で、災害対策ソリューションとしての有用性も大きくクローズアップされている。今回は、そのクライアント仮想化の最新動向に迫る。 (BCP:Business Continuity Plan / BCM: Business Continuity Management)

クライアント仮想化をめぐる直近1年間の変化

宮原氏

ちょうど1年前、シトリックスさんとマイクロソフトさんを交えてクライアント仮想化をテーマに座談会を行いました。その後、クライアント仮想化を取り巻く環境にはどのような変化があったのでしょうか?

日本仮想化技術株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 宮原徹氏
日本仮想化技術株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 宮原徹氏
荒井氏

ユーザー企業のクライアント仮想化に対する認知度は、確実に高まってきました。以前はどちらかというと、個人情報保護法の施行に伴うセキュリティ強化や、パンデミック対策などのために、やむなく導入を検討する企業が多かったのですが、最近は前向きな動機での導入が増えてきました。例えば、スマートフォンやタブレット端末から利用できる業務アプリケーションを効率よく開発するために、クライアント仮想化の技術を取り入れる企業なども増えてきましたね。

株式会社 日立製作所  エンタープライズサーバ事業部クライアント本部 クライアントソリューション拡販センタセンタ長 荒井達郎氏
株式会社 日立製作所
エンタープライズサーバ事業部クライアント本部
 クライアントソリューション拡販センタ センタ長
荒井達郎氏
三浦氏

従来、クライアント仮想化のメリットの一つとして、在宅勤務やモバイルワークの推進、いわゆる「ワークスタイルの革新」という側面が訴えられてきましたが、リーマンショックで一度立ち消えになってしまったという経緯がありますよね。最近は、多くの企業の経営状態がようやく回復基調に乗ったこともあって、震災前までは「ワークスタイル革新」「ワークライフ・バランス」というキーワードで再び注目を集めるようになっていました。

株式会社アイ・ティ・アールシニア・アナリスト 三浦竜樹氏
株式会社アイ・ティ・アールシニア・アナリスト 三浦竜樹氏
宮原氏

技術的にもだいぶこなれてきたという印象ですね。サーバ仮想化が普及して、仮想化技術のコストメリットが広く認知されたことが追い風になっている気がします。サーバ仮想化の場合とまったく同じく、手始めにクライアント仮想化を試験導入した企業の多くがそのメリットをすぐに認めて、そのまま本格導入に乗り出すケースが多いようですね。またストレージ装置が安価になってきたことも、コスト面でのハードルを下げる一因になったと思います。

荒井氏

より手軽にクライアント仮想化ソリューションをお客さまに導入していただけるよう、日立でもこの1年間でソリューションを拡充しています。その1つが、エントリーブレードサーバ「HA8000-bdシリーズ」を使ったSBC(Server Based Computing)方式のソリューションです。「FLORA bd500シリーズ」を使ったブレードPC方式はユーザー個別の環境を構築するのに適したソリューションとして納入実績を伸ばしてきていますが、業務やデスクトップ環境が標準化されている場合は、ブレードPCよりSBC方式の方がコスト的には有利なことが多いのです。そこで、ブレードサーバーにサーバOSとCitrix XenAppをセットアップしてお客さまに提供するソリューションを始めました。

 

日立では、クライアント仮想化の導入を検討されているお客さまに対して、業務内容・用途・コストなどさまざまな観点からのご提案をさせていただき、お客様価値創造に最善となる方式のソリューションをご提供させていただいています。そのソリューションのひとつが、ブレードPC方式であり、また、ターミナルサーバ方式などのSBC方式なのです。もちろん、複数の方式が混在することも可能です(図1)。

図1:日立のセキュアクライアントソリューションの全体像
図1:日立のセキュアクライアントソリューションの全体像
宮原氏

ちなみに、こういったソリューションの導入先としては、やはり金融系の企業が多いのでしょうか?

荒井氏

金融系企業は、個人情報の漏えい防止という観点で、比較的早くからシンクライアントを導入していましたね。ただし、ここに来て他業種の企業が、クライアント仮想化のコストメリットに着目して導入に乗り出すケースが増えてきています。例えば、遠隔地の拠点を多く設けている物流系の企業が、クライアント環境の管理コスト削減を狙って導入するケースもありますね。

三浦氏

アイ・ティ・アール(以下、ITR)では、製造業からの問い合わせも増えています。特にここ数年、海外拠点からの開発・設計情報の漏えいを防ぐ手段として、クライアント仮想化、現在は特にデスクトップ仮想化に注目している企業が多いですね。

荒井氏

官公庁や教育機関、医療機関からのニーズも多いです。それから、業種を問わずあらゆる企業で課題になっているのが、Windows XPのサポート切れ問題です。2014年4月でWindows XPのサポートが終了してしまいますから、それを機にクライアント仮想化環境への移行を検討している企業は非常に多いですね。

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震災後はBCP関連でクライアント仮想化の案件が急増

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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