Xenハイパーバイザー
VMware社がESX Server 1.0をリリースしたのとほぼ同時期、イギリスのケンブリッジ大学でIan Pratt教授のグループが新しいハイパーバイザーの開発を開始しました。当初からハイパーバイザーを前提とした設計で、仮想化のCPUオーバヘッドを小さくし仮想化におけるパフォーマンスインパクトを最小限に抑えるようにしたことが特徴です。しかし、このため仮想マシンで動くOSは、ハイパーバイザーと協調して動くように修正しなければなりませんでした。これが、準仮想化OSです。
2005年初頭、オープンソースのソフトウェアパッケージとしてリリースされていたXenはLinuxディストリビュータ、CPUベンダーだけではなくSun MicrosystemsやHP、IBMなどから、この新しいハイパーバイザーはサポート表明を受けたのです。これによりXenを取り巻く環境は大きく変わります。Linuxはカーネルを準仮想化し、Xen上で仮想マシンとして動くようにし、XenのプロジェクトリーダであるIan PrattはVMware社と同じPalo Altの地でXenベースの商用ソフトウェアビジネスのためXenSource社(後にCitrix社に買収される)を設立しました。
Xenはカーネルの修正を必要とするのため、Linux用仮想マシンソフトウェアという位置づけでしたが、インテルとAMDがCPUで仮想化の支援を行う機能を発表したことで、Xenは準仮想化OSだけでなく、Windows OSのように修正していないOSもゲストOSとして動かすことができるようになりました。
現在、XenハイパーバイザーはCitrix XenServer、Oracle VM、Sun Microsystems xVMやRed Hat、Suseなどのディストリビューションにも使用されています。
現在の仮想化機能
ハイパーバイザー機能はVMware vmkernelとXenハイパーバイザーの他に、まだリリースされていませんが、Microsoft Windows 2008に組み込まれる予定のHyper-VとParallelsのHypervisorがあります。ハイパーバイザーが提供する基本の仮想化機能、すなわちハードウェアの抽象化とパーティショニングは無償またはかなりの低額で提供されています。
これらの機能は既に成熟しており、今、仮想化ソフトウェアを提供するベンダーは、仮想化をベースにいかに付加価値がある製品を提供するかというところでしのぎを削っています。仮想化を行うと、例えばライブマイグレーションなど物理マシンでは不可能であったことが可能になります。また、仮想マシンによるシンクライアントやBC/DRソリューションなどがコストをかけずに行えるようにもなります。
次回はCitrix XenServerが提供する仮想化機能およびソリューションを紹介します。