はじめに
今回は、Citrix XenServerに焦点を当て、この仮想化ソフトウェアがどのような機能を持っているのかを紹介します。
前回少し説明しましたが、Citrix XenServerは、Xenをベースとして商業用に販売することを目的としたXenSource社を買収し、Citrixブランドとして提供している製品です。Xenはオープンソースソフトウェアとして作成され、現在もCitrixリードの元、IBM、Intel、VA Linux、Novellなど多くの貢献者により成り立っています。例えば、インテルはチップに組み込む仮想化支援機能をいち早く仮想化ソフトウェアで使用できるよう、Xenの機能強化を行い、ハード、ソフト両面からXenの最適化を行っています。
1.Xen Hypervisorの特徴
X86システムの仮想化を本格的に使用する場合には、ハードウェアの上で直接実行するハイパーバイザー型の仮想化ソフトウェアの使用が主流です。このハイパーバイザーにはVMwareのVMkernel、MicrosoftのHyper-V(ベータ)、ParallelsのParallels Server(ベータ) 、Xen Hypervisorなどがありますが、Xen Hypervisorを除いては、その会社の仮想化製品のためのハイパーバイザーでありプロプライエタリーな製品と言えます。
一方、Xen HypervisorはOSS製品のため、多くの企業がXen Hypervisorをベースとして様々な独自機能を付加した仮想化製品を提供しています。これらの製品にはCitrix XenServer、Oracle VM、Sun Microsystems xVMなどがあり、またRedHat Linux、Novell SUSEなどLinux OSにもバンドルされています。
CPUベンダーやOSベンダー等の貢献により仮想化に最適化されているXen hypervisorと、そのハイパーバイザーをベースとした製品が各社から提供されていることは、まさにXen Hypervisorは仮想化の業界標準と言えます。
2.Citrix XenServerの特徴 1
それでは、具体的にOSS Xen Hypervisorをベースとして製品化された、Citrix XenServerの説明をしていきます。仮想化の機能の多くはハイパーバイザーが実装しています。そして、OSSであるXenは多くのコミュニティー貢献者により機能の強化がされています。しかし一方で不安定なコードが混在していることも確かであり、Citrixは企業の本番運用で使用されることを前提に、徹底的な品質テストを行っています。ここで発生した問題は、コードを修正しXenコミュニティーにチェックインし反映させています。
Citrix XenServerは、コストを含めた導入のしやすさ、使いやすさ、ハイパフォーマンスを念頭に開発が行われています。
(1)導入のしやすさ
今までのOSS Xenはインストールし使用するには、Linuxの知識が必要でした。また、インストールも煩雑で初めてOSS Xenのインストールを行うには1日かかってしまうことも珍しくありません。まず、XenServerが行ったことはインストールを容易にし、Linuxの知識がない人でも簡単にインストールできるようにする事でした。
XenServerのインストール方法はいたって簡単です。XenServerのCDをサーバにセットし、CDから起動すると自動的にインストールが開始します。コントロールドメイン(Dom0)のホスト名、IPアドレスをインストール途中で入力を行うだけで、インストールが完了します。インストールにかかる時間は、初めてXenServerをインストールする方でも30分以内に終了するでしょう。
XenServerには多くのOEMパートナーがありますが、その中の1社Dellには、XenServer OEM Editionを提供しています。OEM Editionは組み込み型(Embedded)のXenServerで、サーバにはXenServerのバイナリーがUSBメモリーまたはSDカードにインストールされています。このサーバを購入したユーザーはXenServerのインストールの必要はなく、電源を入れるとわずか3分でXenServer仮想化環境を使用できます。さらに、Dell OEM EditionはDell用にカスタマイズされているため、XenServerが起動するサーバでローカルコンソールが起動します。ホスト名やIPアドレスの変更などは、このローカルコンソールから行えます。また、Dellのサーバ監視ツールであるOpenManageのAgentも最初から含まれているので、エージェントのインストールなく、他のデルサーバと同様にハードウェアの監視が行えます。