マルチデバイス対応の開発ニーズが高まっている
「最近の開発者のニーズとしては、マルチデバイスに対応したいという話をよく耳にします」
―日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 パートナー&クラウド推進本部 パートナーテクノロジー部 エバンジェリストの井上大輔氏によると、アプリケーション開発においてはマルチデバイス対応のニーズが急速に高まっているという。
iPhoneやAndroid端末、さらにはWindows Phoneも登場し、それらさまざまな端末で利用できるアプリケーションを作りたい。とはいえ、それぞれの端末に対応したネイティブアプリケーションを作るとなると、それは相当な手間となるのが現実だ。
「それぞれのネイティブアプリケーションを作るほどの体力はない。であれば、HTML5やJavaScriptを使ったWebアプリケーションで対応する、という話に落ち着くことも多くあります」(井上氏)
Microsoftが提供するVisual Studioは、C#やVisual Basicなどを利用しオンプレミスのWindowsネイティブアプリケーションを構築するもののイメージが強い。なので、HTML5やJavaScriptを使ったWebアプリケーション構築の際には、開発環境としてVisual Studioが挙がることはあまりない。
「じつはVisual StudioはWebアプリケーションの構築のための機能も、かなり充実しています。そのことについては、Microsoftとしてもまだまだ訴求が足りていませんが、最新のVisual Studio 2010では、すでにHTML5/CSS3が利用できます。。HTML5/CSS3のコーディングからデバッグまで、基本的なHTML5の開発環境として利用するだけでなく、Visual Studioを使うことでHTML5/CSS3の技術習得のサポートも可能です」(井上氏)
また、マルチデバイス対応としては、Windows Phone対応への関心も高まっている。Androidは端末のバラエティも多く、OSバージョンも複数ある。さらに端末ごとにメモリ容量なども異なるため、これらを考慮した上で安定した動作を保証するネイティブアプリケーションを開発するのはかなり苦労する。その結果、iOSとWindows Phoneのアプリケーションにターゲットを絞っているベンダーも出てきているという。
Windows Phoneの開発環境となるVisual Studio 2010、Expression Blend 4、XNA Game Studio、Windows Phone Emulatorは、すべて無料で提供されている。
「通常のアプリケーションは、基本的にSilverlightの技術で開発できるので、従来のWindowsアプリケーション開発のスキルがそのまま生かせることも、Windows Phoneが支持されている理由の1つだと思います」(井上氏)