クラウド時代に入り、データセンターへのニーズが急増中
クラウドコンピューティング時代が本格的に到来し、クラウド環境への移行が進んでいる。従来、主にITリソース利用の最適化とコスト面が注目されていたが、事業継続のためのクラウド利用、データセンター活用が急速に増加している。地震による震災に備え、違う地殻プレート上にある遠隔地のデータセンターへのバックアップも重要なテーマだ。
仮想環境が急速に増えており、2011年には国内の仮想化サーバの数が、物理サーバを上回った。またWindows XPのサポート終了時期が迫っており、デスクトップを仮想化してXPでしか稼働しない業務アプリケーションを継続しようという動きも目立つ。そのため、データセンターが預かるシステムは物理と仮想の環境が混在し、複雑化している。同時にネットワークに接続している人やモノから生み出される情報が急増するビッグデータ化により、ストレージ容量が爆発的に増えている。
データセンターの運用管理効率化の各フェーズを支える製品を用意
クラウド時代のデータセンター運用では、どのようなことが課題になっているのか。それを日立製作所では構築、監視、運用のフェーズに分けて整理しており、課題解決に有用な対応をするため、システム運用管理でトップシェアを続けているJP1の製品群を提供している。
まず構築フェーズでは、利用者からITリソース貸し出しの申請があった際、スピーディに対応しなければならない。ところが申請の受付からリソース提供までの運用がバラバラだと、管理者への負荷が大きい。そこで、ITリソース管理オペレーションを一元化する製品を導入すれば有用だ。またITリソース管理では、データセンターの顧客からの問い合わせや作業依頼件数が多くなると、対応の遅れが生じてしまう。セルフサービスポータルを提供すれば、利用者自らが手軽に操作可能になり、ビジネスの変化にスピーディに対応できる。
続く監視フェーズにおける課題は、問題が発生した時の障害箇所の特定と、影響が及ぶ範囲の見極めが、難しくなっていることだ。クラウド時代のシステムは、利用中のITリソース、仮想環境、物理環境が混在して複雑化している。そこで、システム全体を可視化する製品が求められることになる。また複数の顧客を一つのリソースで扱っているので、マルチテナントのセキュリティを維持する機能も必要だ。
また物理と仮想の両方を見ながら稼働状況を把握し、たとえばリソース不足傾向になったら必要な対応ができる環境を整える必要がある。構成変更が盛んに行われる環境では、エージェントのインストールが必要な手法では対応できない。そこで求められるのが、エージェントレスの監視製品である。
また従来の監視製品では、しきい値を設定する必要があり、その判断が管理者の負担となっている。そこで通常の稼働状況のデータを貯めておけば、それをベースラインとなる。現状の数値が離れてきたら、異常の予兆を検知できる。
運用効率化のキーワードは自動化と標準化
三つの課題カテゴリーで、もっとも問題が大きく、対策の効果が大きいのが運用フェーズだ。ここでは自動化、標準化がポイントになる。その課題と有効な対応策をより詳細に検討してみたい。
まずジョブ運用の状況を定期的に報告するレポート作成が、管理者の負担となっている。そこで可能な限り作成を自動化することが望ましい。それは例えばジョブ管理製品のJP1/AJS3と印刷系のオプション製品により可能で、ミス排除、時間コスト削減、サービスの質向上が実現する。
次に物理と仮想が混在する環境では、業務開始、終了の手順が複雑になっており、またミスでバックアップを失敗する恐れもある。これを人手に頼っていたのではコストがかかるため、業務が終わったら自動的にパワーオフするJP1/Power Monitorという製品を使い、各作業をスケジューリングすることで、管理者が常駐しなくても業務の開始/終了から電源管理まで、一連の流れで自動化できる。
バックアップと運用オペレーションの効率化
またバックアップするデータ量が増えている。例えば流通サービス業で人の行動ログを取り、ビジネスの分析に使っているからだ。そこでJP1/VERITASを使えば重複データをきちんと排除し、必要な部分と更新された部分だけを対象にした効率的なバックアップが可能になる。日立内における実測で、8~9割の削減できているという。遠隔地のデータセンターにバックアップする際には、ネットワークへの負荷も軽減できる。
自動化と同時にポイントとなる標準化で注目すべきは、運用オペレーション手順だ。データセンターの運用管理は、複数のシステムを複数の管理者がローテーションで担当している。そのため、誰がどのシステムを担当しても、オペレーションできなければならない。ところが実際の運用は属人的になっていることが少なくない。当然、紙のマニュアルが用意されているが、何か手順に変更があった場合、それを全員がリアルタイムに共有するのは困難だ。そこで運用システム手順のシステム化を担うJP1/IM-NPを使えば、各オペレーターが蓄積したノウハウを組織全体で共有できるようになる。運用としてよくあるモデルケースをテンプレートとして提供しており、この製品の商品価値となっている。
ソフトウェアとハードウェアの両面でサポート
日立は、ハードウェアでもデータセンター運用をサポートしている。例えば仮想マシンの構成変更に伴う性能バランスの見直し時には、負荷状況をモニタリングしコントローラ間の性能バランスを考慮する必要がある。また、この自動負荷分散の機能により、
クラウドコンピューティングの導入が本格化してきた現在、データセンターの運用基盤にとって、日立のJP1とストレージというインフラが検討されはじめている。