高性能なハードウェアにソフトウェアを最適化しR-OLAPもM-OLAPもダッシュボード表示も高速化
Oracle Exalytics In-Memory Machineは、2011年のサンフランシスコで開催されたOracle OpenWorldで、Exaシリーズの第三弾として発表された。Exalyticsは、フルラックのイメージが強いExaシリーズとしてはかなり小柄な筐体。この小さな箱の中に、10コアのIntel XeonプロセッサE7-4800が4つで合計40コアのCPUと1テラバイトのメモリ、さらにネットワークには40Gb/sのインフィニバンドを2ポートと10Gb/sのイーサネットが搭載されている。小柄ではあるがExaシリーズを名乗るだけあり、かなりの高性能マシンだ。ちなみに、ベースはSun Fire X4470M2で、ハードウェア価格はおよそ1,500万円。
この小さな高性能マシンに搭載されているソフトウェアは、多次元データベースのOracle Essbaseを含むOracle Business Intelligence Foundation Suite、そしてインメモリデータベースのOracle TimesTen In-Memory Database for Exalyticsとなっている。このアプライアンスマシン、Oracle流に言うならばエンジニアドシステムで、R-OLAP、M-OLAPを活用するBI分析やフィナンシャルプランニング、オペレーショナルプランニングなどの分析処理を高速化できるというものだ。
上記ソフトウェアは、当然ながらOracleの手によって分析用に高速処理ができるよう手が入れられ、このハードウェアに最適化されている。たとえば、もともとOLTP処理用として実績のあったインメモリデータベースのTimesTenを、BI/BAの分析で高速処理できるよう拡張がなされている。その1つが、分析用のSQLの追加、さらにインメモリデータ圧縮のColumnar Compression機能も追加されている。圧縮を利用することで、より多くのデータをインメモリ上へと配置可能となる。
また、さらにメモリを効率的に利用し性能を向上させるために、サマリー・アドバイザー機能も追加された。これは、BIレポートの利用履歴を把握し、使用頻度の高いデータをメモリ上に保持できるように運用管理者に提案する機能。これを使ってヒューリスティック・アダプティブ・インメモリ・キャッシュに必要なデータを置くことで、メモリを活用した高速な処理が実現できることになる。
そして、多次元データベースを用いたMーOLAP分析を行うEssbaseも、Exalytics用に大きく拡張されている。これまでは、8並列処理しかできなかったが、40コアのプロセッサパワーをフル活用できるよう128並列処理まで一気に拡張されたのだ。この多重化で「計算速度はスーパーコンピュータ化された」とEPM/BI事業統括本部 ビジネス推進本部 ビジネス推進部 担当ディレクター工藤啓介氏は言う。大量なメモリとこの並列処理の拡張で、高度なシミュレーションや予測などの負荷の高い分析処理も高速化できる。この並列度の向上は、分析だけでなく多次元データベースのキューブデータ再構築に必要な計算処理も大幅に高速化する。また、大規模ユーザーからの同時アクセスに対しても、十分なレスポンスが確保できるとのことだ。