はじめに
そろそろ皆さんの会社でも、今年の新入社員が現場へ配属され、本格的に仕事に入っている頃だと思います。財団法人 社会経済生産性本部が毎年恒例で行っている新人タイプの分析では、今年の新人は「カーリング型」と命名されています。会社への帰属意識が低いとか、育成のための環境作りに周囲が苦心する、などと評されているようです。[図1]
ところでここ数年、先輩社員や人事部門の方からよく耳にするのは、「言われた事しかやらない」とか「積極性があまり感じられない」といった新人への苦言です。中にはろくに挨拶をしない場合もあるそうですし、挨拶をするように促しても「ハァ…(面相臭いなぁ)」「それって必要あるんですか?」といった反応が返ってくることもあるそうです。
もちろん、すべての新人がこんな調子だという訳ではないでしょう。「同期同士はとても仲が良い」などと言う話も聞きますし、一括りにはその性質を論じることもできないでしょう。しかし、総じて見ると大体どこも似たような状況、つまり人事部門や先輩社員の目には、新人の会社に対する帰属意識や、仕事に対する積極性が欠けている、と映ってしまうというのが実情のようです。
それぞれ独自の選考基準があるでしょうから、皆さんの会社にどれくらいの割合で“あまり積極的でない”新人がいるのかは分かりません。しかし、そうした人材があなたの部下やチームメンバー、OJT対象者として配属されてくる可能性が無いとは言い切れません。もしかしたら既にこのような状況に直面し、日々その対応に苦慮しているところかもしれないですね。
ということで、今回は、「どうやったら新人が積極的になってくれるのか?」というテーマで、コミュニケーションを考えてみようと思います。
「積極的でない」を具体的にいうと?
さて、先程から「積極的でない」という漠然とした表現を使っているのですが、もう少し具体的に考えるとしたら、どのような感じになるのでしょうか? 私がパッとイメージするところでは、指示されないと動かない「指示待ち」タイプと、「無気力・無関心」のようなタイプの2つでしょうか。皆さんはどうでしょう?
ひとまずは、この2つのタイプを例にとって考察してみたいと思います。
どちらのタイプか見極める
さて、あなたのもとに新人がやってきました。
この新人が、どちらのタイプに該当するのかを見極めることは、おそらくそんなに難しいことではないでしょう。例えば、その新人に仕事の指示をしたときの反応を見ればおおよそ見当がつきますよね。
「指示待ちタイプ」であれば、指示さえすれば一応は動き始めることでしょう。一方、「無気力・無関心タイプ」の場合は反応が薄く、時には的外れな返答が返ってくることでしょう。暖簾に腕押し、糠に釘。昔からこの手のことわざが数多くあることを考えれば、今に始まった問題ではないのでしょうが、こうした状況は当事者としては困ったものです。
以下では、2つのタイプについてざっと考察したのち、具体的にどのように接していけばよいかという点についてアドバイスしたいと思います。