不思議なものでデータを消すという行為は非常に大きなためらいを伴うものだ。特に多人数で利用する企業内のサーバーに至っては、誰もデータを消すことができないため、データは無限に増殖していくことになる。ディスクが有限である以上、データとの付き合い方を知っておくことは重要だ。今回はデータのライフサイクル管理についてお話する(後半はこちら)。
はじめに
片づけをする場合「大切なものは大切な所へ、そうでないものはそれなりに、いらないものは処分する」という適材適所の考え方は、おそらく多くの方から賛同を得られる作法であろう。出しっぱなしの現金は金庫にしまい、Tシャツは戸棚にしまうはずだ。現金を戸棚にしまい、Tシャツを金庫にしまうなどということを、皆さんのご家庭ではまずはしないだろう。
また、不要となったものはサッサと捨てるというのも片づけを行う上での重要なポイントだ。よく整理整頓という言葉を耳にするが、辞書の説明を読むと、整理という言葉の中にはどうも物を捨てるというニュアンスが多分に含まれているようだ(図13-1)。

データは何故増えていくのか
データは何故増えていくのだろうか。昔はメモリーやストレージが高価であったため、データ表現に使えるビット数を節約して使うことが心がけられていた、故にプログラムもデータもなるべく小さくしようという努力がなされていた。例えば数値を表現する場合、文字のように1桁の数字につき1バイトを使用すると、10進数で100という数値を表わすには3バイト必要だが、2進数表現で数値を表せば1バイトで済む。
現在ではメモリーやストレージのコストが相対的に安くなったため、資源を節約する努力よりも別の方向に多くの努力が向けられている。例えば使い勝手や見栄えをよくすることや、パフォーマンスを良くすること、よりユーザーの希望や需要を満足させるための開発生産性を向上させることなどだ。
結果的に以前と比べてデータ量は爆発的に増えてきてしまった。皆さんもパソコンを買い換えるたびに大きな容量のディスクが装備されるので「これなら今度こそ安心」と思われたことは多々あるだろう。しかしそのパソコンを使い続けていくとやっぱりディスクは足りなくなってくる(図13-2)。

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佐野 正和(サノ マサカズ)
1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...
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