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【夏サミ レポート】タブレット法人導入のトリセツ、「情シスめんどうくさい」にならないために

去る7月27日に行われた「夏サミ」こと、翔泳社主催のDevelopers[Social Enterprise]Summit 2012。本稿では、大木 豊成氏のセッション「タブレット法人導入のトリセツ」を紹介する。

イシン株式会社 代表取締役社長 大木豊成氏
イシン株式会社 代表取締役社長
大木豊成氏

 「今日のセミナーでの提案は『Do not Wait..』です」

 と語るのは、イシン株式会社 代表取締役社長の大木豊成氏。iPadなどのタブレットの法人導入については、もはやなにも躊躇する時期にはないということだ。

 イシンは、Appleの公式コンサルタント会社である「Apple Consultants Network」に登録されている企業だ。企業におけるスマートフォン、タブレットの導入プロジェクトを数多く手がけている。

 そういった活動の中で聞こえてくるのが「情シスめんどうくさい」という言葉だという。

 これはどういうことかというと―。

 社長命令などで、ある日突然iPadの導入をすることになった情シス担当者。社内システムにiPadをつないでいいのか分からない、iPadでWi-Fiに接続していいのかも分からない。そして、タブレットの資産管理をどうしていいのか、さらにはタブレット用のアプリケーション購入ルールはいったいどうしたらいいのか。

 タブレット導入で、情シス担当者は突然こうした「どうしていいか分からない」課題にぶち当たってしまうのだとか。

 そうなると、情シス担当者は分からないことだらけで硬直してしまう。そして、プロジェクトは情シス担当者からの回答待ちという事態に陥りいっこうに前に進まなくなる。こうなると、iPad便利そうだよね使いたいよねと思っている人や、タブレット導入を依頼されたパートナー企業などからは「情シスめんどうくさい」となってしまうわけだ。

 確かにiPadのようなタブレットを導入するとなると、新たなことを考え、新たなルールや仕組みを作る必要があるだろう。大木氏は状況が誰かの手によって改善されるのを待つのではなく、「とにかく先に進めるべきです。これは情シスだけでなくユーザー部門にも言えることです」と言う。便利で使いやすく、それを使えば効率が上がるのならば、とにかくプロジェクトを前に進めるべき時期なのだ。

 これは、ソーシャルネットワークなどの活用も同様。10年前ならコミュニケーションツールとしては、メールが当たり前。それがいまではソーシャルネットが利用できる。「イシンではZyncroを使ってコミュニケーションをとることが多いのですが、facebookのクローズのグループを作ってコミュニケーションをとっている例もどんどん増えています」とのこと。ソーシャルネットワークを使うと、必要な人を必要なときにグループに加えてコミュニケーションできる。これは、情報が埋もれてしまいがちなメールとは異なり、効率的なコミュニケーションが可能になる。

 話に加わってもらいたくない人を、スルーしてコミュニケーションがとれるのもソーシャルネットワークだと大木氏は言う。

「iPad導入のためのプロジェクトで、実際にSalesforce.comのChatterを使ってコミュニケーションをとっている企業の例があります。そこでは、社内の関係者と外部のコンサルタントがChatterに加えられていますが、情シス担当者はあえて外して活用しています」(大木氏)

 めんどうくさい情シスをスルーして、まずはどんどんプロジェクトを前に進める方法を選んだというわけだ。

 大木さんのこれまでの経験からみると、タブレット導入プロジェクトのアプローチは、一般のシステム導入プロジェクトの場合とは異なるとのこと。一般的なシステムのアプローチであれば、まずは導入を検討し、導入、運用という流れとなる。これがタブレットの場合は、まずはよく分からないのでとりあえず小さい単位で購入。そして実際のモノを手にした上で検討し、次のステップがパイロット導入で試しのフェーズに。

 「この試しのフェーズで業務面でのバグ出しを行います。ここが重要です」(大木氏)

 試した結果をさらに評価して再検討する。そして全社規模で導入して運用へというアプローチをとると、タブレット導入が成功する場合が多いとのことだ。

 そして、導入して終わりではなく、導入後の対応も重要だ。運用する中で変化すること、新たに発見することもあるのでそれに柔軟に対応することが必要になるのだろう。

 最後に大木氏は、「タブレットにしてもソーシャルネットワークにしても、新しいものを導入しようとする際には仕事が増えたと考えるのか、新たに活躍する場ができたと考えるかで大きく異なります」と締めくくった。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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