業種ではなく「業態」で捉える
日本のマスコミの論調と米国のアナリストの見方が違う。ソニーとパナソニックとアップルという比較は、米国ではない。アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグル、インテルそしてフェイスブックです。日本でいえば異分野、異業種です。米国のアナリストの評価が違います。
ソニー、シャープ、パナソニックなどを比較しながら「ものづくり」を云々している日本とは、見ている世界が違うのです。産業生態系が様変わりしているということです。商品形態、事業業態、産業生態という言い方を私はします。ものづくり、製造業は「業種」といわれます、「業態」は流通業だと考えられてきましたが、あえて「業態」という言い方をしようと提案しています。繊維、化学、医薬、食品とかいう株式市場の区分では捉えられない。業種の垣根を超えた戦いをしているのだから、業態で考えた方が良い。すでに、電子機器、機械は当然のことながら、今後は医療機器、機能性素材、食品に至るまで同様のビジネスモデルとして見たほうが意味があるのではないでしょうか。
そのことを理解して、俯瞰的、長期的な手を打たないと負け続けるよ、というのが私の議論です。今は乱世なのですから、乱世の戦い方をしないと勝てない。乱世は次の世代の構想を描いた奴が勝つのです。
―どうもありがとうございました。
妹尾 堅一郎(せのお・けんいちろう)
特定非営利活動法人 産学連携推進機構 理事長
1953年東京都生まれ。特定非営利活動法人 産学連携推進機構 理事長、CIEC(コンピュータ利用教育学会)会長。慶應義塾大学経済学部卒業後、富士写真フイルム(現富士フイルム)に入社。1990年、英国立ランカスター大学経営大学院システム・情報経営学博士課程満期退学。産能大学助教授、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、東京大学先端科学技術研究センター特任教授などを経て現職。一橋大学大学院MBA、九州大学、放送大学の客員教授を兼任。内閣知的財産戦略本部専門調査会会長、農林水産省技術会議委員など、多数の政府委員を務める。著書に、『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』(ダイヤモンド社)、『アキバをプロデュース』(アスキー新書)など多数。
妹尾氏の共同研究者でもある小川紘一氏の本。本記事で紹介する知財マネジメント、ビジネスモデルの戦略がアップル、サムスン、インテル、クアルコムなどの事例を通じて紹介されています。妹尾氏も「金字塔的労作」と推薦
小川紘一著:翔泳社刊 価格:2200円+税
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