というわけで、今回は日立のデータベース開発の現場にお邪魔し、実際に日々製品開発に取り組んでいるエンジニアの方々の素顔を紹介してみたい。果たして、データベースを開発している人たちとは、一体どんな人種なのか?
日立のデータベース開発基地に潜入……
訪れたのは、日立のデータベース開発の総本山、ITプラットフォーム事業本部 ソフトウェア本部 DB設計部のオフィスがある同社横浜事業所。広大な敷地の中に数多くの社屋が立ち並ぶ中、DB部が入っているのは今年6月にオープンしたばかりの新築ピカピカのビル。中に入ると、新築の建物独特の匂いがまだほのかに漂っている。
まずは、2階にあるカフェスペースに案内される。何と、えらくスマートでカッコイイじゃあありませんか! てっきり社食に毛が生えた程度のものかと思いきや、オシャレなインテリアが配置された本格的なカフェ。失礼だが、日立のイメージとは若干かけ離れているような……(本当に失礼だ、スイマセン)。
そこで早くも遭遇したのが、仕事の合間にくつろぐ日立DB女子の面々! 皆、日々データベースの設計・開発に奮闘する、日立が誇るなでしこDB軍団だ。そうか、こんな可憐ななでしこたちが、日立のデータベース開発を支えているのか。実のところ、「ひょっとしたら、えらくとんがったDBマニアックの巣窟なのでは……」と密かに戦々恐々としていたのだが、一気に緊張が和らぐ。
DB女子たちに別れを告げ、次に向かったのが、同じフロアに設けられた料亭(?)のような来客スペース「水無月荘」。「スペース」とは書いたものの、入口には立派な暖簾が掛かり、中に入ればまっさらな畳敷きの座敷部屋が幾つも並んでいる、まさに料亭としかいいようがない空間だ。「社屋の中にこんな施設が入っているとは、驚きだな……」と辺りをきょろきょろ見回していると、日本庭園風の中庭で、ある人物を発見!
和傘と畳椅子の組み合わせに何の違和感もなく溶け込んでいるこの人物こそ、日立データベース開発の生き字引とも言えるスーパーエンジニア、山平耕作さんだ。一説によると、SQLで日常会話ができるとも噂される。早速、突撃インタビューを試みた。
──日立きってのSQLプロフェッショナルだと伺っているのですが。
山平さん 日立に入社してすぐ、初のリレーショナルデータベース開発プロジェクトが立ち上がって、そこに配属されました。ちょうどIBMが初めてSQLを実装したリレーショナルデータベース管理システムを発表したころで、ISOやANSIによる標準化が行われる前の話ですね。以来、ずっとSQLとリレーショナルデータベースの仕事に関わってきました。現在は、HiRDBのSQLエンジン開発の取りまとめをやっています。
──ISOでのSQL標準規格の策定活動にも深く関わって来られたとか。
山平さん 国際会議の下部組織として、情報処理学会が日本国内の標準化委員会を運営していたのですが、そこに正式な委員の代理として参加したのがきっかけでした。その後、JIS規格を策定する委員会に委員として参加するようになり、SQLのJIS化対応などに携わってきました。国際規格の不具合を洗い出して、国際会議に付託するような作業もやっています。ちなみに国際会議の方には、今では弊社の土田と小寺というエンジニアが日本代表として参加しています。
──では、もうSQLの仕様はすべて頭の中に入ってるんですね!
山平さん いやいや、とんでもない! あんな膨大な仕様がすべて頭の中に入ってる人なんて、世界中探したっていませんよ! でもまあ、日本国内でSQLといえば、一応小寺か私ということになるのかなあ……。
──なるほど。ちなみに、プライベートでは何か趣味を嗜んだりされているのですか?
山平さん 昔はよくカラオケに行きましたねえ。一晩で48曲、連続で35曲歌ったこともありましたよ!
──それはスゴイ!
現在はイクメン期間中につき、夜のカラオケ活動は休止中とのことだが、子育ての苦労話を笑顔で開けっぴろげに披露してくれる山平さんの姿は、とても日本を代表するスーパーSQLエンジニアには見えないのだった。