前回の記事でも触れたように、ステージゲート法は、技術開発・製品開発を「事業」において成功させるためのマネジメントプロセスです。各ゲートにおいては、徹底して「事業における成功の面」から評価します。技術や製品そのものの完成度を評価するものではありません。今回の記事では、プロセスごとに設けられたゲートでは、どのような視点や軸でテーマを評価するのかを議論したいと思います。(連載の記事まとめは、こちら)。
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世界のベストプラクティスから得られた評価軸
ステージゲート法は、1980年代にカナダのマクマスター大学のロバート・クーパー教授とその同僚により開発された方法論ですが、その後、欧米企業を中心に広く採用され今に至っています。この過程で、同教授とその同僚は、企業調査やコンサルティングを通じて、数多くのステージゲート法の採用企業の実態に触れ、ステージゲート法を積極的に進化させてきました。
その間、同教授の著した『Winning at New Products』も4版数え、その内容も進化してきています。最新の第4版は2011年に出版され、その日本語訳『ステージゲート法 製造業のためのイノベーション・マネジメント』(浪江一公訳・刊行:英治出版)が、昨年日本で出版されました。
この書籍の中では、図1の評価軸が示されています。ステージゲート法は後にも説明するように、固定的なものではなく、各企業で実態に合った形で設計し、また時間とともに各企業においても進化していくものです。図1の評価軸も一つの事例という位置づけですが、この評価項目(例)は、前述のような過去のプロセスをたどって進化した結果の“ベストプラクティス”として示されています。
経営コンサルタントの目からは、特別新しい評価項目はないのですが、重要なのは、過去の何千社の30年以上の活動を踏まえてこのような評価項目(繰り返しますが一つの例ではありますが)となっていることです。

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浪江 一公(ナミエ カズキミ)
ベクター・コンサルティング株式会社 代表取締役社長大手電機メーカー勤務の後、アーサー・D・リトル(ジャパン)(株)、(株)フュージョンアンドイノベーション等を経て、現職。テクノロジーマネジメント、事業戦略、マーケティング戦略の分野で20年以上のコンサルティング経験を持つ。日本工業大学大学院技術経営研究科客員教授(兼任)。北海道大学工学部、米国コーネル大学経営学大学院(MBA)卒【主な著書・訳書】「ステージゲート法 製造業のためのイノベーションマネジメント」(英治出版)(訳...
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