SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine Day Special

2024年10月16日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

ステージゲート法による革新的な製品を生み出すイノベーションマネジメント

3ステップによる「革新的な製品」の創出、ゲートを活用した「戦略の確実な実行」

(第5回)


これまで4回の連載をしてきました。今回からは、ステージゲート法で何ができるのかを考えて見たいと思います。ステージゲート法はどのように生まれ進化していったかの背景、日本企業の失われた20年にとってステージゲート法がどのように役に立つのか、不確実性を前提として事業環境においてステージゲート法がどのように“使えるプロセス”なのか、などを「戦略と実行の整合性」の観点から解説します。(連載の記事まとめは、こちら)。

スターバックや金融機関も導入するテーマのマネジメント手法-進化の背景

 ステージゲート法は過去30年に渡り、世界中の数多くの企業で製品開発や技術開発のテーマをマネジメントする手法として利用され、その成功事例を反映し進化してきた手法です。

 ステージゲート法の原形は、NASAなどでも利用されてきたフェーズレビュー法です。このフェーズレビュー法は、開発プロセスを複数のフェーズに分割し、各フェーズを担当部門が責任を持って完了し、次の部門に受け渡すための手法です。各フェーズの終了時点でレビューをする場を設け、そこではもっぱら技術面を評価の対象とするものでした。

 ステージゲート法は1980年代中盤にカナダで開発された手法ですが、研究開発のプロセスを「ステージ(フェーズ)」「ゲート(レビュー)」に分割する構造は、フェーズレビュー法から受け継ぎましたが、ステージゲート法では、徹底して事業面での成功の視点からテーマを評価するという点が大きく異なっていました。

 その後、3M、P&G、コーニングといったイノベーションに優れた企業を含め、世界中の数多くの企業において、ステージゲート法の基本概念を使って各企業の事情に合わせ様々な試みが行なわれました。それらの試みと成果がフィードバックされることで、今で言うクラウドソーシングなどのオープン・イノベーションの開発法により、ステージゲート法は進化してきました。

 このような数多くの企業からの様々なフィードバックの結果、その利用目的は、当初の「テーマを管理する」という管理的な目的から、不確実性を前提にした革新的な製品を継続的に実現すること、また、事業戦略や技術戦略を実行するためのポートフォリオ・マネジメントの重要なツールとして機能すること、といったより「戦略的な目的」に変化をしてきています。

 現在ではステージゲート法は欧米企業で広く利用され、北米の製造業の7割がこの手法を使っていると言われています。また、利用の対象は製造業に限らず、スターバックスでの製品やサービスの開発、金融機関でのM&A案件のマネジメントなど、様々な業界で広く利用されています。

次のページ
製品開発における“失われた20年”で、日本企業が失敗した理由

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ステージゲート法による革新的な製品を生み出すイノベーションマネジメント連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

浪江 一公(ナミエ カズキミ)

ベクター・コンサルティング株式会社 代表取締役社長大手電機メーカー勤務の後、アーサー・D・リトル(ジャパン)(株)、(株)フュージョンアンドイノベーション等を経て、現職。テクノロジーマネジメント、事業戦略、マーケティング戦略の分野で20年以上のコンサルティング経験を持つ。日本工業大学大学院技術経営研究科客員教授(兼任)。北海道大学工学部、米国コーネル大学経営学大学院(MBA)卒【主な著書・訳書】「ステージゲート法 製造業のためのイノベーションマネジメント」(英治出版)(訳...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/4710 2013/05/13 18:42

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング