ERPを活用して実態把握した海外子会社をいかに統制するか
ここまで述べたとおり、海外子会社の“かわし”に勝ち、言うことを聞かせるには、以下のどちらかのアプローチが有効です。
- アプローチA:
具体的な事実に基づき、「目指す姿や日本本社」と「海外子会社」でどこがどう違うかを理路整然と語り、向かう方向を細かい点で1つ1つ合意していく。
- アプローチB:
“ぐうの音も出ない事実”をつかんで迫る。
アプローチBのほうが言うことを聞かせるうえで決定的であり、できれば採りたいアプローチですが、海外子会社もなかなか尻尾を見せないものです。”ぐうの音も出ない事実”の把握に気を配りながらアプローチAで進め、”ぐうの音”については見つかったら“儲けもの”ぐらいに考えておきましょう。
どちらのアプローチを採るにしても、海外子会社の真の実態把握が欠かせません。前回の記事では、真の実態に迫るための具体的事実の把握手法として、ERPシステムを活用したアプローチをご説明しました。
今回はERPシステムを入口にして現地の実態を把握した後、その事実を使って統制をきかせていく方法についてご説明します。
アプローチA:違いを明確にして、細かく突き詰めて方向性を合意していく
第14回の記事で述べたように、ガバナンスモデルを始めとする抽象的なフレームワークでは、人と人の利害渦巻くガバナンスの議論を前に進めるのは困難です。総論賛成、各論反対となるケースが非常に多いです。やはり何事も話を前に進めるには、地味に地道にコツコツと取り組む必要があります。
弊社ではグローバルガバナンスの問題を多くご支援しておりますが、基本的に以下のアプローチで取り組んでいます。もちろんお客様に合わせてカスタマイズしますが、基本ステップは原則的なものであり、ほぼ全ての企業で通用します。実際に、直近のご支援でも大きな威力を発揮しました。(図表1)