前回は、データサイエンスに関してビジネス部門の方々にとって大切なことは、ソフトウェアや分析手法の詳細を理解することに時間を費やすのではなく、データサイエンスを通して成果を得るのに欠かせない知識やスキルの習得に注力すべきであること、そして、そのための最初のステップが正しい分析プロセスの理解であることをご説明しました。今回からいよいよ、分析プロジェクトにおいてよくある「落とし穴」やその「回避方法」をまじえながら、ビジネスにおける正しい分析プロセスについてご説明いたします。
理解している人が意外に少ない、ビジネスにおける“正しい”分析プロセス
唐突ですが、問題です。
皆さんは、ビジネスにおける「正しくない」分析プロセスとして、どのようなものを思い浮かべますか?「正しい」方ではなく「正しくない」方ですよ。正解は、“行き当たりばったり”。

事前の準備や計画もなく、いきなり分析を開始し、データをいじくり回すだけで、いつまで経っても成果が得られず、時間切れとなるパターンです。
こうした行き当たりばったりのアプローチは、残念ながらさまざまな現場で目にします。「時間がたっぷりあれば、いろいろと準備もできるけど、時間に追われながら結果を出すには、仕方ない」と諦めている方も多いかと思います。
成果をいち早く得ようと焦る気持ちはわかりますが、「正しい」プロセスに従うのが、結局早道なのです。急がば回れです。
続いて第二問。ビジネスにおける“正しい”プロセスとは?
ビジネスにおける「正しい」プロセスとして、どのようなものを思い浮かべますか?「行き当たりばったり」の反対だから「計画的」?
惜しい!事前に準備された計画に沿って、粛々と分析を進めるこのプロセスは、一見理想的なものに見えますが、実際のビジネスにおいては、計画通りに進めて期待通りの成果が得られることは稀です。

なぜなら、必要とするデータが存在しない、収集したデータに不具合が見つかる、ビジネス環境が変化する、などのさまざまな状況変化に応じて、「臨機応変」に対応する必要があるからです。事前に準備された計画に沿ってプロセスを進めつつ、必要に応じて直前のステップ、あるいは、もっと前のステップに戻り、行きつ戻りつ繰り返しながら進める、これが「正しい」プロセスです。

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神子島 隆仁(カゴシマ タカヒト)
ITエンジニアを経て、分析コンサルタントとして、社内外クライアントの経営及びマーケティングに関する意思決定を支援。データサイエンスが、ビジネスだけではなく、よりよい社会の実現に役立つことを夢見て、活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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白石 嘉伸(シライシ ヨシノブ)
マーケティング・コミュニケーションの可能性に興味を持ち、デジタルマーケティング(調査分析、行動データからのインサイト発掘、マーケティングの自動化など)のプランニングや支援を行う傍ら、その具体的な表現となるデザイン、設計にも興味を持ちインフォメーションアーキテクト、人間中心設計専門家としても活動。
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黒沢 健二(クロサワ ケンジ)
1982年生まれ。リサーチャー/アナリストとして、大手IT企業での調査・分析や、大手不動産メディアでのビックデータ分析設計をはじめ、仮説構築から施策立案、検証まで様々なプロジェクトに携わる。学生時代にイタリアでデザイン設計を学んでいたこともあり、デジタル技術の進歩を見据えた人の創造性のあり方が興味関...
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