現在ITの歴史の中で、情報セキュリティから「サイバーセキュリティ」に、大きな変革期にきているようです。サイバーセキュリティと言うと、どうしても最新の脅威情報や防御技術の話になってしまいますが、今回は「サイバーセキュリティ」に対処する私たち「人間」に焦点をあてて考えていきたいと思います。新しい脅威が出てきたときに人間は、過去の先人の知恵からどのように突破口を見い出し対処すべきか。また反対に、危機管理意識が乏しく歴史的に同じような過ちを繰り返してしまう人間の傾向とは。「サイバーセキュリティ」と言っても、中心に人間がいる新しい脅威です。人間を中心にした「サイバーセキュリティ」の対策を皆さんと考えていきたいと思います。
現実に“サイバー戦争”が起こる時代に突入している
一昔前までは「サイバー戦争」と言うと、まさにハリウッド映画の中の話でした。しかし今年に入ってから各種ニュースの報道で、米国の高官が他国からのサイバー攻撃を受け、その国を名指しで非難したり、日本の隣国の金融システムがサイバー攻撃を受けて破壊されたりと、背後で国家の関与が疑われる重大なインシデントが立て続けに起こりました。

このようなことが起こるという事は、どうやら私たちは現実に“サイバー戦争”が起こる時代に突入してしまったようです。困ったことに、サイバー戦争により攻撃の目標にされるのは、決して軍や政府機関だけではありません。むしろ世界に誇る企業の最先端技術の盗用や、社会の重要インフラシステムの破壊等ほとんどの場合、民間企業の施設が攻撃を受ける可能性が高いのです。
私が最近読んだ著書『戦術と指揮』(元自衛隊陸将補、松村劭氏著)は、古今東西の戦術をもとにした、現代人が実社会において勝ち抜くために大いに役立つ内容です。私たち一般人が、半ば戦場と化したこのサイバー空間の中で、自社の情報システムや情報資産をどのように効果的に守り戦うのか大変参考になると思います。
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本橋 裕次(モトハシ ユウジ)
マカフィー株式会社サイバー戦略室 兼 グローバル・ガバメント・リレイションズ 室長ネットワーク、及び情報セキュリティの技術者として15年以上従事。 2009年、米セキュア・コンピューティング社の買収によりマカフィー社へ入社。 2010年、セールス・エンジニアリング本部のシニア・マネージャーの職務に就...
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