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サイボウズ、kintone新価格を発表、SIビジネスの未来を切り開く鍵となるか


 2013年12月10日、サイボウズはkintoneの価格改定を発表した。新価格は2014年4月以降から適用される。大半の現行ユーザーには値下げとなる。今後サイボウズはkintoneを絡めたSIビジネスの支援体制を強化していく。

青野社長
青野社長

 サイボウズといえばグループウェア。サイボウズの青野慶久社長は「我々はデータベースの会社でもなければ、ソフトウェアの会社でもない。グループウェア事業を通じて世界中のチームワーク向上に貢献するという理念を持っています」と断言するほど、サイボウズはグループウェアに注力している企業だ。

 サイボウズは今年4月から連結売上が前年同月比+15~30%で推移してきている。クラウドサービス契約数の積み重ねが形に表れ始めた。青野社長は「新しい成長フェーズに入った」と手応えを感じているようだ。

 4年前からサイボウズはクラウド事業に徹底的に投資するようになり、当初はインフラから整備した。クラウドインフラとなるcybozu.comでも念頭においたのは「チームワークのために」。一般的にクラウドに求められる信頼性やセキュリティだけではなく、グループウェアで現実的に必要とされる機能を提供するように心がけてきたところがサイボウズらしい。例えばユーザーが操作ミスでデータを消したとしても元に戻せるように、cybozu.comには14日分のバックアップを持つようにしている。

 2年前にはサイボウズのクラウド上で業務アプリを構築するプラットフォーム「kintone」の発売を開始した。この2年でkintoneは有料契約者数が1,000社にまで成長。ここでさらにユーザー層を広げる狙いでサイボウズは価格改定をすることにした。

 現状はユーザーあたり月額880円(一律)のところ、2014年4月から適用される価格体系ではLight版とStandard版の2通りになる。Light版はユーザーあたり月額780円でAPI利用やJavaScriptカスタマイズができないなどの機能制限がある。Standard版はユーザーあたり月額1,500円でフル機能を利用できる。

 現行ユーザーの9割は主にExcelからの乗り換えで利用しており、新価格体系ではLight版に該当するため「値下げ」の恩恵にあずかれる。残りの1割に該当したとしても、5年間は現行価格のままである。2014年3月の新価格適用前までに契約すれば、「駆け込み」可能。つまりStandard版の利用でも5年間は現行の月額880円だ。現行ユーザーは今後どこかのタイミングでLight版(値下げ)かStandard版(フル機能)のいずれかを選ぶことになるようだ。

 既存ユーザーには値下げ、あるいはすえおきで満足度を高め、一方で手ごろな価格の新Light版でさらなる顧客獲得を狙う。今後はプロモーション活動にも力を入れ、積極的に普及促進をはかる。ユーザーの裾野が広がれば「より使いこなしたい」というStandard版へステップアップする可能性も高まるためだ。

 サイボウズはパートナー協業促進にも積極的だ。青野社長は「2013年にサイボウズが最も注力したのが製品連携」と強調するように、2013年にはkintoneからAPI経由で連携できる製品が増えた。今ではkintone連携ソリューションが40ほどに広がった。直近では11月6日にOSKの「SMILE BS」とkintoneが連携可能となり、kintoneアプリストアで「kintone SFA for SMILE BS」が公開されたのもその一環である。

 2014年、サイボウズはSIビジネスを強化する。昨今クラウドサービスや手軽な開発環境が普及し、かかる人月を根拠にビジネスをしているSIは不利な立場に追いやられつつある。しかし青野社長は「単発からサービス(継続)へ」と発想の転換をうながす。「この案件は○人月だから×百万円」と請け負うのではなく、素早く開発するサービスとして提供するという発想だ。いわばSIビジネスのサービス化。今後はコミュニティサイトや開発者向けの技術サポートなどを通じたSIビジネス支援体制の強化、案件発掘の支援などを行う。なお2014年4月から適用される新Standard版はSIerでの取り扱いを想定した価格設定だ(あまり安いとSIがビジネスとして扱いにくいため)。

 こうしたSI強化施策により目指すのは「作り込みが負けない時代」だと青野社長は言う。日本ではパッケージに複雑なカスタマイズや作り込みをするため、開発費や保守費が増大する傾向にあった。問題は作り込みにかかる時間であり、もし作り込みが短時間ですむならコスト的なデメリットは払拭できて「作り込みの文化が復活する」と青野社長は考えている。kintoneは日本のSIビジネスを「サービス型」にシフトさせ、世界展開を図るという可能性も秘めている。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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