Project Big Green発足の背景にある2つの課題
情報社会の急速な発展により、IT機器が消費するエネルギーの総量が増加し続けている。IBMでは2007年5月10日、データセンターの電力消費や発熱量、温室効果ガスの排出量削減を支援するProject Big Greenを発足することを発表。約850人以上の専門家(その内日本は100人以上)で組織されたグリーンチームによるビック・プロジェクトだ。
日本アイ・ビー・エムの村山逸文氏は「プロジェクト発足の背景には、解決しなければならない2つの課題があった」と語る。
1つは現場の課題。米調査会社ガートナーによる米国でのアンケート調査によれば、ユーザーが考えるデータセンターにおける課題のトップ2が発熱と電力不足であり、スペース不足が続いた。またIDCの調査ではサーバーの購入代金が微増なのに対し、電気代空調コストは急速に伸びている。このままでは、2010年に100万円のサーバーを購入した場合の年間コストは71万円になると予測されている。
Project Big Greenの背景にあるもう1つの課題は環境だ。京都議定書には、2008年から2012年の間に1990年と比較して平均-6%にするという目標が掲げられている。現実は2006年時点で+6%であり、2008年も同水準だとすれば、どこかで平均12%削減しなければならない。
では、増えた部門はどこか。排出量が最多で総量の約半分を占める工場等の産業部門は、石油ショック以降の省エネの進展で減っている。増えたのは自動車や船舶による運輸部門が+17%。また、おそらくITも含まれると思われるサービスや事務所等の業務部門で+41・7%。比率の大きいところを減らすのはもちろんだが、大きく増えてしまったところを減らすべく、政府も各種規制の法案化など対策に本腰を入れている。