前回は、固定費、変動費の削減の事例を分類して、コスト削減のコツを考えました。これまで何度も指摘したように単なるコスト削減は、ビジネスの縮小につながります。そうならないための良いコストダウンはどういう実現するのかということがポイントでした。今回は、部門別の変動損益計算書と固定費の分類について考えます。新規事業を立ち上げ、そのビジネスを管理・評価する際に、部門別の変動損益計算書が役に立ちます。作成するにあたっては、固定費の分類、共通費固定費の配賦などの問題が発生します。今回はこれらを考えてみましょう。
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本連載筆者による、決算書による「経営分析」手法と考え方
固定費の分類について、事例で考えてみよう
A社は、日用品の卸売業です。東京と大阪など全国に10営業所をもっています。本社は神奈川にあります。①~⑩は、A社で発生した固定費を説明したものです。これらの固定費について、「営業所長が管理する」という視点で、3つに分類してください。あなたが考えた分類基準は、何かについても明確にしてください。
① 東京営業所で使用している営業車のリース料
② 大阪営業所の正社員の給与
③ 東京営業所の顧客の接待に使った費用(接待交際費)
④ 本社が行った日刊紙(全国版)での企業イメージアップ広告費
⑤ 大阪営業所の要請で、本社(営業本部)の担当者が営業支援のため出張した際の旅費交通費
⑥ 本社(営業本部)で作成した新商品販促用パンフレットの作成費(必要量は、各営業所で本社に請求する)
⑦ 名古屋営業所で雇ったパートの人件費
⑧ 本社(購買部)で集中仕入れを行っている。その仕入商品を営業所で販売されるまで倉庫会社に保管を依頼しているが、その際の倉庫代
⑨ 大阪営業所の地代家賃(10年契約の2年目)
⑩ 本社社屋の地代家賃
では、事項からこの10項目の固定費を、3つに分類する方法を、詳しくみていきましょう。
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千賀 秀信(センガ ヒデノブ)
公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」という点で、多くの企業担当者や受講生からよい評価を受けている。研修、コンサルティング、執筆などで活躍中。日本能率協...
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