Office 365 Educationは、容量50GBの電子メール、予定表、アドレス帳、スパム/ウイルス対策を無料で提供するサービス。卒業生も無料で利用できるのが特徴で、教職員と学生は、これらに加えて、25GBのオンラインストレージ、学内ポータル、インスタントメッセージング、在席情報、オンライン授業についても無料利用が可能だ。
プランとしては、このほか、学生が月230円、教職員が月410円でボイスメールやOffice 365 Pro Plus(クライアントインストール型のOfficeをクラウドからダウンロードして利用するサービス)を利用できるプランなどがある。また、Office 365 Pro Plusについては、Student Advantageと呼ばれる教育機関向けボリュームライセンス特典を利用できる。
発表に際し、日本マイクロソフト業務執行役員 オフィスビジネス本部長のキャロラン・ゴールズ氏は「日経225銘柄企業の60%が導入済み。全導入企業の90%が中小企業。これまで130を超える顧客導入事例を公開した」とOffice 365が幅広い企業に採用され、成長していることをアピールした。
教育機関での具体的な導入状況については、業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長 中川哲氏が説明した。教育機関向けでは、Yahoo! Japanによる「Yahoo!メール Academic Edition」の無償提供や、Googleによる「Google Apps for Education」の無償提供が先行してきた。
中川氏によると「当社の調べでは、170万人というと高等教育機関の3人に1人が利用していることになり、No.1のシェアを持つサービスになった」とした。
Office 365 Educationを導入している教育機関としては、OECD東北スクール、東京理科大、青山学院大学、徳島大学、関西大学総合情報学部、国士舘大学、長崎大学、福岡工業大学、関東学院大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、大同大学、滋賀大学、ケイ・インターナショナルスクール、印西市教育センター、和歌山市教育委員会、函館大学、愛知大学、大阪大谷大学などを挙げた(順不同)。
このうち、OECD東北スクール、東京理科大学は新たに発表した事例だという。東京理科大学の工学博士半谷誠一郎理事は、LyncによるWeb会議機能で、記者説明会にライブ参加。以下のようにコメントした。
「創立130周年をむかえた本学は、卒業生が国内外に180万名おり、教職員、在校生あわせて約2000名と理系のなかでも比較的大きな大学。現在、実験の予習やレポートの共有などのコミュニケーションを行うための基盤づくりを進めている。Lyncを使ってFace to Faceのコミュニケーションができるメリットは大きい。またExchangeを使った卒業生とのやりとりができることもメリット。その他SharePointなどを使って、大学教育のグローバル化にも取り組んでいきたいと思っている」
また、大阪大学も新たに採用を決めており、同大学サイバーメディアセンター情報メディア教育研究部門の准教授 清川 清氏が、ビデオメッセージで以下のようにコメントした。
「大阪大学はOB、OGあわせて20万人。そうした規模のインフラを、サービスを止めずに運用するという観点からクラウドを前提に検討した。他社と比較したが、多言語対応がすぐれていたこと、何かあったときに国内法が適用されることからマイクロソフトのサービスに決めた。OneDriveで大容量のストレージが使えることも魅力だった。学内ではセキュリティを懸念する声が高かったが、精査して問題ないことを確認した。OB、OG向けサービスもこの3月から稼働している。運用コストは5年間で3分の1になる。20万人のOB、OGのうち半分が利用すると仮定すると、85%のコスト削減になる見込みだ」
中川氏は教育機関でOffice 365が選ばれる理由として、オンライン授業やオンラインでのレポート提出など機能が豊富であること、国内法が適用されるため、係争時に渡航したりする負担がないこと、卒業生も無償で利用できBCP対策になるなど運用コスト削減が可能なこと、広告目的での個人データの収集を行っていないことなどをアピールした。
なお、現在は大学など高等教育機関が先行しているが、「今後、初等中等教育機関でのニーズが広がる」(中川氏)と見ており、取り組みを加速させる方針だ。