グローバルのSaaS市場ではすでにOracleはNo2
じつはあまり知られてはいないが、杉原氏によれば、「OracleはすでにグローバルのSaaS市場ではNo.2のポジションを獲得して」いるという。そして、No.2の大きな部分を占めるのが、このOracle Marketing Cloudだろう。
かつてのマーケティングは、広告を制作し新聞や雑誌などのメディアに掲載するといったものが中心で、比較的アナログ世界で完結していた。新たなマーケティングツールとしてメールやWebサイトが活用されるようになり、SNSの利用などでどんどんデジタル化している。デジタル化とともに、国境もなくなってる。デジタル・マーケティングのツールを使えば、国境を越え海外市場をターゲットにするのもたやすい。
これら2つの変化はデジタル・マーケティングを考える際には大きなポイントとなる。そして企業においては、CIOよりもCMOのほうが今後は大きなIT予算を使うことになるとの予測もあり、デジタル・マーケティング市場は大きな成長が期待される領域だ。
Oracleはそんなデジタル・マーケティング領域において、グローバルで先行している企業だと言う。Oracleは、デジタル・マーケティング分野でここ数年に7社もの企業を買収し、それらを統合して「Oracle Marketing Cloud」を形作っているからだ。買収した製品は各種デジタル・マーケティング分野で評価も高くリーダー的なものばかり。なので、Oracle Marketing Cloudには、世界中にすでに2,800社あまりの顧客がいる。
「データベースでNo1のOracleが、マーケティング・ソリューションでもNo1を目指します」(杉原氏)
ライバルはアドビシステムズ、セールスフォース・ドットコム、そしてIBM
「Oracleは、顧客情報の統合に力を入れています。すべての顧客情報を集められる唯一のベンダーです」と語るのは、買収したEloqua、Responsys、Compendium、BlueKaiなど各製品を含むOracle Marketing Cloud全体の事業を統括するシニア・バイスプレジデント ケビン・エイクロイド氏だ。企業は顧客情報を統合することで顧客の状況に合ったストーリーでマーケティング・アプローチが行えるようになる。「Oracle Marketing Cloud's DMP(Data Management Platform)」として、クラウド上にさまざまなチャネルの顧客情報を統合化できるからこそそれが可能となる。このDMPを「ニア・リアルタイム」に活用できるのも、Oracle Marketing Cloudが顧客から指示されている理由だという。
もう1つOracleが重視しているのがマーケティング活動のROIだ。これまでのマーケティング活動の多くは、たとえばある広告出稿の評価などは行うことがあっても、活動全体を分析しそのROIを詳細に検証する動きはほとんどしてこなかった。Oracle Marketing Cloudでは分析機能を重視しており、実施したマーケティングのアクティビティをさまざまな角度から評価できる。得られた結果は、新たなマーケティング活動にフィードバックできる。
メール、Web、SNS、さらにはリアルイベントなどのオフライン活動も含め、すべてのチャネルを通じた一貫したカスタマー・エクスペリエンスを提供できるのもOracle Marketing Cloudの特長だ。
「すべての顧客情報の統合、すべてのチャネルを一貫して扱える、そしてそれらをOracleというエンタープライズITで実績あるベンダーのITプラットフォームで提供するのが、Oracleのデジタル・マーケティングソリューションの優位性です」(エイクロイド氏)
これら3つが揃っているベンダーは他にはないが、あえてデジタル・マーケティング領域で競合する企業を挙げるならアドビシステムズ、セールスフォース・ドットコム、IBMの3社があるとのこと。これら3社は包括的なスタックソリューションを持っている企業だからだ。