バックアップとデータ保護に新たな市場が生まれている理由
――クラウドが普及し、バックアップやデータ保護の市場はどのように変化していますか。
市場変化の状況はシンプルです。クラウドが普及したことで企業の物理サーバー数は減り、さらに仮想マシンの数も横ばいです。そういう面からは、バックアップ市場は横ばいから低下していると言えるでしょう。
とはいえこれは、従来型市場の話です。むしろ今後は、新しいバックアップ、データ保護の市場が台頭しています。
データ保護の面では、明らかに保護すべきデータの量が増えています。だからと言って、まだまだデータ保護のサービスを導入する中小規模の企業はそれほど増えてはいませんが。クラウドの普及は、新たに保護すべきさまざまなデータを生んでいます。つまりクラウドの普及は、データ保護やバックアップに新たな市場を生み出していると言えるでしょう。これは我々にとっては新たなチャンスです。
――クラウドによりデータ保護、バックアップ市場が変化する中、中小規模の企業にはどのような課題がありますか。
まず、クラウドには課題と言うよりも懸念があります。クラウドへデータを預ける”ためらい”のようのもので、これは大企業でも中小企業でも変わりません。さらに、データを失うことは耐えられないという思いもあります。実際、クリティカルなITシステムにトラブルが発生すると、停止している時間が1時間あたりで6万ドルの損失が発生するとの試算があります。またすべてのデータを失った企業の90%は、1年以内に倒産するとのデータもあります。それだけデータは企業にとって大事なものなので、これらの懸念は仕方がないものでしょう。
一方でテクノロジーの進化があり、クラウドにおいても暗号化などを用いて高度なデータ保護が実現できます。ここには技術的な大きなパラダイム変化があり、クラウドを活用した適切なデータ保護は、むしろビジネスの成功につながります。
そのため、早期に新しいクラウド技術を用いたデータ保護を行うべきです。その際にはデータの損失があるかないかではなく、いつ起こるのかを考慮する必要があります。ハッカーによる全く新しい攻撃や大規模な災害などは避けることができません。つまり、データ損失は起こるものだと考え、それでも企業が存続できるよう準備することが大切です。