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EMC World 2015開幕、XtremIOのハイエンドモデルThe Beastは「野獣的」

 ゴールデンウィーク中の5月4日、米国ラスベガスでEMCの年次カンファレンスイベント「EMC World 2015」が開幕した。今回のイベントテーマは「REDEFINE.NEXT」。昨年「REDEFINE」でITの世界を新定義し、そのための数多くの製品を市場に投入。そこから1年が経過して「NEXT」、つまりは次の段階に来た。新定義された第3のプラットフォーム時代へと、EMCによる実践が始まった。

EMCが構成するFederationとは

 初日のテーマはコアテクノロジー、主にインフラストラクチャーに関する発表が行われた。最初のゼネラルセッションのステージに登場したのはEMC Information Infrastructure部門のCEO デビッド・ゴールデン氏。

 「EMCは、これまでやってきたことを、どんどん加速します。2020年には70億の人口、300億のデバイスが登場します。それによりデジタルでインターネットにつながっている世界が実現。これは5年後の数字ですが、5年を待たずにすでにさまざまなことが世界では起こっている。各種センサーデバイス、Apple Watchのようなものの登場がその象徴で、センサーがいろいろなことに使えるようになり、スマートデバイスを使って対話するようになっています」(ゴールデン氏)

 ゴールデン氏
ゴールデン氏

 この新たな「情報世代」の到来を支えているのが第3のプラットフォーム。これはクラウド、ソーシャル、ビッグデータというメガトレンドに支えられている。とはいえ、これらだけではだめだ。

 「重要なのはアプリケーションです。それを使って、ビジネスの結果を出すことが重要です。その際にCIOにとっての課題は、コストは今よりも下げつつ第3のプラットフォームのための新たな投資をしなければならないことです。さらにこの新たな環境のリスクも考えなければなりません」(ゴールデン氏)

 これらの課題を解決するために、EMCはVMware、PivotalとともにFederationを構成した。Federationでは各社が戦略的に連携している。けれども3社で囲い込むのではなく、選択肢を提供していると言う。Federationが1つになることで、ビジネスの結果を出せるようになる。そのための、エンタープライズ・ハイブリッドクラウドをFederationで作った。これはEMCのインフラ環境、PivotalのCloud Foundryによる素早く継続的なアプリケーション開発、そしてData Lakeによる分析もある。さらにそれを何1,000人ものユーザーが使うとなれば、当然ながらセキュリティも大事だ。ここではEMC RSAのデータ保護の技術を活用する。

第3のプラットフォーム時代に求められる迅速性をコンバージドインフラで

 このような環境をかつてのERPのアプリケーションのように2年かけ導入するというのでは、時代のスピードから取り残されてしまう。その対応策がコンバージドインフラだ。VCEがEMCに統合されたことで、プラットフォームにはコンバージドインフラを使える。これにより、柔軟で信頼性のおけるインフラ環境を1ヶ月未満で提供できる。

 このコンバージドインフラは、最初はリファレンスアーキテクチャから始まった。そこからシスコ、VMwareと一緒にサーバー、ストレージ、ネットワークさらにその上の仮想化マシンまで含む「VBlock」を作った。VBlockは各社の技術のベストオブブリードだが、ワンストップのサポートで提供できる点も評価が高い。VBlockに続いて市場に投入したのが、ハイパー・コンバージドインフラと呼ぶアプライアンス形態の「VSPEX」だ。こちらは構成が決まっているので、よりシンプルで容易に導入できるコンバージドインフラとなる。

 これまで2つのコンバージドインフラを提供してきたが「顧客の期待はさらに進化している」とゴールデン氏。そのための新しいコンバージドインフラとしてステージで紹介されたのが「VxRack」だ。これはVBlockのデータセンタースケールと、アプライアンスのシンプルさという特長を併せ持つようなもの。VxRackはエンジニアードシステムだという。

 VCEのCEOであるプラビーン・アッキラージュ氏は「XtremIOを使ってフラッシュベースのVBlockも作りました。VBlockは市場で評価されていて現状はこれが1番です」と語る。

 一方のVSPEXはコンパクトですぐに提供できるところが評価され、2Uサイズで仮想マシンが100台、VDIが100台といった要求に応えられる。なので中小規模の企業で数多く使われている。

 「買って10分で使えます。クラスター化すれば、8台まで拡張できます。これがハイパー・コンバージドインフラのマーケットの中心にまります」(アッキラージュ氏)

 VxRackとアッキラージュ氏とゴールデン氏
 VxRackとアッキラージュ氏とゴールデン氏

 このようにVCEは5年間コンバージドインフラの経験を積んできた。その結果として新たに提供するのがVxRackだ。VSPEXは固定的だが、VxRackはミックスできるという。拡張性も極めて高く、どんどん足して大きくできる。統一的な管理プラットフォームが入っており、本当の意味でのスケールアウトなインフラができる。

 このVxRackの高い拡張性は、Software Defined Networkの技術とSoftware Defined Storageの「ScaleIO」を活用して実現している。さらにユニークなのは、基本はVMwareだが他のハイパーバイザーも選べるようにしていること。このあたりがさまざまなものをミックスできると言うことだ。

 「今後はVxRackの多岐にわたる構成が出てきます。スケーラビリティは1/4ラックから、1/2ラック、1ラック、さらにそれを何1,000ラックにまでも増やすことができます。これはソフトウェア・デファインド・スケールです。これが本当のスケールアウトのシステムであり、これこそがグローバルスケールです」(アッキラージュ氏)

 基本的にVBlockが既存のSAPやOracleなどミッションクリティカルなトランザクションとなるTear1のアプリケーション向けのコンバージドインフラで、VxRackはモバイルなどのTear2のトランザクション向けと使い分けることになる。さらに、ハイパー・コンバージドのアーキテクチャを活用するようなものでもVxRackは使われるだろうとアッキラージュ氏は言う。

次のページ
XtremIOではハイエンドバージョンの最新版「The Beast」が登場

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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