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ビッグデータ活用を可能にするECインフラの条件とは?

 EC市場が成長するにつれてユーザーの裾野が広がり、これまでよりはるかに複雑なマーケティングロジックが必要とされてきている。 旧来は単に商品をリストアップしてあとはユーザーに探してもらえば良かったのが、今ではECサイトでいかにオススメの商品を効率よく見つけてもらうかを考えなければならない。ユーザー毎に最適の商品を提案するマーケティングロジックを処理し、ストレスなく表示するのに最重要なのが「インフラ」である。ゼロスタートの山崎徳之氏による基調講演では、求められるEC商品検索・レコメンドエンジンのポイントが実例を踏まえて解説された。

多くのECサイトでは、リアル店舗が持つ接客機能が不足している

 ゼロスタートの山崎徳之氏は「ECやオフィシャルサイトの商品検索というのは、ECだけでなく、リアルのビジネスにもかなり大きな影響を与えてきている」と語る。一方ソフトウェア大手Adobeが行った消費者の購買行動調査では「Webサイトが期待に応えていない場合、商品の購入や情報収集を中断してしまう消費者」が62.6%いた。

写真 株式会社ゼロスタート 代表取締役社長 山崎 徳之 氏

株式会社ゼロスタート 代表取締役社長 山崎 徳之氏

 ECとリアル店舗を比較すると、一番違うのが商品提案の機能だ。店舗では店員がその機能をカバーしており、探している商品のある場所を教えたり、その商品に関連したオススメ商品を提案したりする。

 一方ECでは、「店員の目利き」のような機能はもちろんあるが、商品の発見の責任、負担は消費者側にあるケースの方がまだ多い。店舗にある高度な商品提案機能が、ECにはなかなか無い。もともとECは、新しもの好きのイノベーター、アーリーアダプター向けのものだった。彼らは店舗よりも安く買えるのであれば、商品を探すのも、購入したものを設置するのも厭わなかった。それがスマートフォンの普及により、一般消費者がECを使い始めた今では、EC側も店舗と同じホスピタリティや商品提案力が、求められている。

図1:ECに不足している接客機能
出所:EnterpriseZineDay「BigData×Storage」2015/4/23、ゼロスタート山崎徳之氏講演資料より

 そこで注目されたのがレコメンドであり、キーファクターとして流行った時期があった。もちろん今も重要なのだが、たとえばAmazonの場合、もともとは本やDVDなどが中心で、相関が効きやすかった。しかしECで扱う商品のジャンルが広がり、ユーザーの裾野が拡大した今、最初に商品にたどり着くための検索をうまく働かせないと、レコメンドは機能しない。その結果、商品があるのに見つけることができず、離脱するユーザーが増えてしまう。

 ここで山崎氏が言う「検索」は、キーワードを打ち込んで行う検索だけでなく、「ユーザーが商品を見つけること」を意味している。陳列、広告、提案で知るのもすべて「商品検索」だ。つまり、「ユーザーが良い商品を出会うための課題解決」ということになる。

ポイントはユーザーが入力した検索クエリの徹底活用

 ECで店舗のようなホスピタリティを実現するためには、検索機能が非常に重要になる。なぜなら、検索クエリは具体化されたユーザーニーズだからだ。商品のキーワード、価格帯でドリルダウンし、製品の色、検索結果の並べ替えなど、何を重視しているかを入れてくれる。非常に重要なデータだ。

 しかし、単純な処理に使われているケースがほとんどだ。たとえば「水」と入力したとき、ボルビックなど商品名に水と入っていない飲料水が出てくるのは良いサイトだ。駄目なサイトは単純な商品名マッチングをしているため、撥水マットや化粧水が出てくる。それらを探すために「水」と入れるユーザーはいない。

 一歩進んでいるあるサイトでは、カテゴリーマッチングをしていることから、ジュースが頭に出た。ただそれは「水・ジュース」カテゴリーの中での人気順としていたため、水ではなくジュースがトップに来た。

「ユーザーが入力した検索クエリをより活用することが、これからのECサイトにおけるビッグデータ活用の最重要なポイントになる」(山崎氏)

図2:検索の可能性  
出所:EnterpriseZineDay「BigData×Storage」2015/4/23、ゼロスタート山崎徳之氏講演資料より

 検索クエリは、顧客分析データとして様々なフェーズAcquisition(獲得)、Conversion(顧客への転換)、Retention(維持)で活用できる。 Acquisitionでは、広告に検索クエリを生かさなければならない。またConversionに使える検索クエリは、AcquisitionにもRetentionにも使える。

 「検索クエリと広告は本来、非常に相性が良い。だからGoogleはあれほど急成長できたのです」(山崎氏)

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