ビッグデータにおいて必要なのは、データを使ってどれだけ「価値」(Value)を出すか
Yahoo! JAPANが自らにミッションとして課しているのは「課題解決エンジン」であるということだ。そのために検索、ショッピング、ゲーム、ニュース、地図など数多くのサービスを提供している。
月間の総ページビューは、約619億に及ぶ。スマホの市場にも積極的に取り組んでおり、開発したスマホ向けアプリの累計ダウンロード数は約2億7000万となっている。会員制度Yahoo! JAPAN IDのアクティブユーザー数は、月間で2953万人。検索サービスに入力される検索クエリの種類は、年間で約75億であり、Yahoo!ショッピングでの取扱商品数は約1億6000万点にも及ぶ*。
*PVなど各数値はヤフー株式会社2014年度通期および第4四半期決算報告資料より
以上のことからYahoo! JAPANは様々なジャンルでビッグデータを保有しており、マルチビッグデータカンパニーと称している。では、そのデータをどのように活用しているのか。
よくビッグデータには、ボリューム(Volume)、バラエティ(Variety)、ベロシティ(Velocity)という3つのVがあると言われる。角田氏は「ビッグデータにおいて必要なのは、データを使ってどれだけバリュー(Value)、価値を出すかです」と語る。
「紹介された一つ目の事例は、Data Management Platform(DMP)と呼ばれるものだ。Yahoo! JAPANが提供する「Yahoo! DMP」は、同社の売上の大半を占めているマーケティングソリューション事業の中核を担うプロダクトになる。
「Yahoo! DMP」は、クライアントが持つさまざまなデータを管理できることはもちろん、 Yahoo! JAPANのマルチビッグデータも掛け合わせて活用することができる。独自のモデリング技術を用いて潜在的なユーザー層に最適なコミュニケーションを届けるためのインターネットユーザーの行動予測モデルを作成し、広告配信を行うこともできる。さらに、メール配信やウェブサイト最適化など広告以外のさまざまなマーケティングチャネルへの連携や、各種レポーティング機能などを提供している。
その他、データ活用の事例の中で、目に見える形でユーザーが認識できるものの代表例が検索入力補助、レコメンデーションになる。マルチメディアのデータも扱っており、たとえば音声で入力された質問に音声で答える「音声アシスト」というアプリも提供している。
また、「リアルタイム検索」と呼ばれるサービスではTwitterやFacebookなどの投稿をマイニングして検索する。さらに投稿時の感情がポジティブ、ネガティブのどちらかなのかが一目で分かるような、感情分析の機能も提供されている。
サービス改善のためA/Bテストを数多く繰り返しており、たとえばYahoo!ニュースのある画面では9ヶ月間で36回実施している。「実際、結果の良かったものと悪いものを比較しても、その理由を論理的に説明ができないことが多い。ユーザーに問うた形でのオンラインテストの繰り返しが大事だ」(角田氏)。
スマートフォン版のYahoo! JAPANトップページで、検索フォームの枠の部分を少し太くしたら、検索の誘導が2%向上した。これだけで年間の売上が5億円も違う。
出所:EnterpriseZineDay「BigData×Storage」2015年4月23日、ヤフー株式会社 角田直行氏講演資料より