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デジタルデータの喪失は大きな課題――アクロニス創設者 セルゲイ・ベロウゾフCEOに訊く

 システムバックアップ/リカバリのソリューションを提供しているアクロニス。現在は、システムのバックアップだけでなく、災害対策などのデータプロテクション領域のサービスをグローバルに展開している。データのバックアップとシステム全体を保護するシステムバックアップの違い、さらにはデータプロテクションの最新動向について、アクロニスの創設者でCEOであるセルゲイ・ベロウゾフ氏に話を訊いた。

デジタルデータの喪失は、大きな課題でありビジネスチャンス

――そもそもアクロニスを作ろうとしたきっかけは、何だったのでしょうか?

アクロニスの創設者でCEOであるセルゲイ・ベロウゾフ氏に

アクロニスの創設者でCEOのセルゲイ・ベロウゾフ氏

ベロウゾフ:もともとは仮想化技術を提供するParallelsが最初です。そこから派生しアクロニスは生まれています。きっかけは、データプロテクションに将来性があると感じたからです。ビッグデータ、3Dプリンター、ドローン、AIなど、ITの領域には様々な先端技術があります。これら全てがデジタル化によってもたらされたものであり、そこにはデジタルデータがあります。つまり、データプロテクションのニーズが、これら全てにおいて存在します。

 にも関わらず、データプロテクションは完璧に行われていません。今後、デジタルデータの喪失は大きな課題となります。そこに大きなチャンスがあると考えたのです。つまり”ノー・データロス”を考えたのです。この場合の”ノー・データロス”には、人が意図的に削除したものも後からリカバリできることが含まれます。そこまでの道のりはまだまだ遠いかもしれませんが、そこには莫大なビジネスチャンスがあると考えています。

――アクロニスが市場でもっとも評価されている点を教えてください。

ベロウゾフ:フルシステムプロテクションでは高いマーケットシェアを持っています。そしてそれが、簡単で速いのが顧客から評価されているところです。そして、システムの保護が完璧だということもあります。他社のソリューションでは、システムバックアップを行っていても戻せないことがよくあります。その点に関しても、我々はベストのソリューションだと思っています。

――アクロニスと言うと、日本ではまだまだコンシューマ向けのイメージが強くあります。実際のところ、アクロニスのビジネスの現状はどのようになっていますか?

ベロウゾフ:日本においても85%のビジネスは、すでにコンシューマ向け以外の売り上げです。我々が重要視しているのは、中堅・中小企業の市場とコンシューマ市場の両方です。なので、エンジニア1人のスモールオフィスから、1,000人程度の規模の会社を主にターゲットにしています。これはグローバルでも同じです。実はグローバルのほうが、コンシューマの比率は日本よりも少し高くなっています。

――コンシューマ以外のビジネスにおいては、アクロニスが評価されるのはどのようなところでしょうか?

ベロウゾフ:エンタープライズレベルのデータプロテクションを、小規模な企業にも提供できる点が挙げられます。これは、どんな規模の企業にとってもデータ保護が完璧であり、その上で簡単、安全と言うことです。データ保護の効率が高く、中小規模でも手に入れやすいのがアクロニスの特長です。

重要なのは、いかに迅速に、戻したい時点に復旧できるか

――ところで、システムバックアップ/リカバリと通常のデータバックアップの違いはどこにあるのでしょうか?

ベロウゾフ:単なるデータバックアップとシステムバックアップは全く異なります。前者はある意味ファイルをコピーするようなものです。そこからデータを戻すこともできますが、システムのリカバリポイントをどう捉えるかの部分がシステムバックアップとは大きく違います。さらに修復にかかる時間も重要です。

 日、時間、分のどの単位でシステムをリカバリできるようにするのか。さらには、ハードウェアが異なってもリカバリができるのか。極端なことを言えば、5年前に壊れたシステムでも復旧できるかを考えるのがシステムバックアップ/リカバリの世界です。これを安全にセキュアに実現できる必要があります。

 ベリタスのようなベンダーが提供するプロフェッショナル・バックアップとの違いは、「Easy to Use」の部分でしょう。バックアップは毎日行う必要がありますが、その作業に1時間もかかるなれば面倒でやりたくない。10分で終わればもう少しやる気になる。さらに1分ならもっとやるでしょう。短時間で簡単にできることが重要です。プロフェッショナル・バックアップはきめ細かいバックアップができますが、作業は複雑で実施するのが面倒なものが多いのが現状です。

 何らかのトラブルのためにバックアップのソフトウェアを買ってくれば、それで問題が解決するわけではありません。システムを復旧したければ、ハードウェアのセットアップも必要です。もちろん、バックアップデータもなければならない。こういった面倒な作業を全部クラウドのサービスにしてしまう、これにもアクロニスは取り組んでいます。

 データ保護を考えた際に、方法はデータバックアップだけではないのです。むしろそれだけでは、データ活用には不十分でしょう。たとえばデータが増えてしまい、ディスクスペースを空けたいと考えます。バックアップのソフトウェアではこの課題は解決できません。

 しかし、たとえばクラウド上などにデータをアーカイブできれば、欲しいときにデータを見つけられローカルのディスクではスペースも確保できます。こうすれば10年前のデータも検索で見つけられるでしょう。システムのデータプロテクションの世界では、こういったことも含め考える必要があります。

 これからはクラウドをうまく活用できれば、東京にいてもニューヨークにあるデータを使ってシステムを復旧できます。システムリカバリ、システムの移行、あるいはEディスカバリーへの対応など、常にデータが利用できる形で保護することが重要となります。

――災害対策面でのアクロニスの特長は?

ベロウゾフ:災害対策については、本番と同じシステムを災害対策サイトに作る方法があります。これは、一般にはかなりコストがかかるものとなります。顧客企業が自分たちの手でやるのも大変です。エンジニアも必要で、テストなどの手間もかかります。外注しても、当然ながら大きなコストが必要です。

 対してアクロニスの災害対策方法はかなり安価です。復旧テストも自分たちでできます。大企業ならばエンジニアの確保もできるので、災害対策サイトを用意する方法でもいでしょう。しかし中小企業などでは人の確保も大変なので、なるべく簡単に実現できる方法でなければなりません。アクロニスなら安く簡単にでき、自動化も可能です。

 また、災害対策の場合はどの時点までさかのぼれるかも重要です。それが素早く実現できなければなりません。それが可能なのもアクロニスの災害対策です。

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データ保護の分野は、今後クラウド化の流れが加速する

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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