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モノより体験―“デジタルエクスペリエンス”が世界を変える―Adobe Summit 2016開幕


 米国時間の2016年3月22日、アドビのデジタル・マーケティング分野の年次カンファレンス「Adobe Summit 2016」がラスベガスで開幕した。アドビというとIllustratorやPhotoshopなど、Creative Cloud関連製品イメージがどうしても強くなる。とはいえ、Webアクセス解析やWebの最適化ツール「Omniture」を買収して以降、続々とデジタルマーケティング領域のツール群を増やしており、統合的なマーケティング・オートメーションプラットフォームとなるAdobe Marketing Cloudを提供している。このMarketing CloudがCreative Cloudと共に同社のビジネスの大きな柱に育っているのだ。

アドビが取り組むデジタルエクスペリエンスの世界とは?

 「ショッピングのエクスペリエンスが変わっています。今や試着室のないデジタルの世界で買い物をして、ぴったりのサイズのものを最適な価格で購入できます」

 こう語るのはオープニングセッションの冒頭に登場したアドビ CEOのシャンタナ・ナラヤン氏だ。新たなデジタルエクスペリエンスの世界。これは顧客に驚きをもたらすものでもあり、あるいは気付かないうちに裏で静かに実施されているかもしれない。

 ナラヤン氏は、現状の顧客の期待はデジタルファーストでつながることだという。そんな中で、企業は顧客に対しどのような体験を提供できるかが重要であり、それにより他社への優位性が生まれる。

アドビ CEOのシャンタナ・ナラヤン氏
アドビ CEO
シャンタナ・ナラヤン氏

 「政府などの公共サービスでさえ、人々は簡単なモバイルアプリケーションでの対応を求めています。簡単な操作ですぐに手続きなどが行いたいのです。このことを考えるのは容易だが、実現するのには難しいものがあります。アドビではそれをコンテンツから実現していきます。素晴らしいコンテンツがあって初めて、素晴らしいデジタルエクスペリエンスの世界を実現できます」(ナラヤン氏)

 コンテンツからのアプローチというのは、いかにもアドビらしい。もちろんこのアプローチが取れることが、他のデジタルマーケティングツールベンダーに対するアドビの優位性でもあるだろう。

 現状、デジタルと物理的な世界は、仮想と拡張現実のテクノロジーでつながっている。すべてのものが今までよりも速く動くようになっている。このような速いサイクルの中で、適切な情報を適切なタイミングで顧客に渡すことができなければ、顧客は満足しないのだ。

 「適切なものをタイムリーに提供するにはデータが必要になります。現状の人工知能やロボットは、人間を置き換えることはできないでしょう。しかし、機械と人間を組み合わせることで、最適なものをより速く提供できるようになるはずです」(ナラヤン氏)

 そのために、アドビではデータ分析の部分に力を入れている。データサイエンスを使うことで、パーソナル化したエクスペリエンスを、リアルタイムに提供できるようになる。

 「デジタルエクスペリエンスで世界を変えます。アドビは、それに実際に取り組んでいる唯一の会社です」とナラヤン氏は自信を見せる。

テクノロジー進化による3つ目の波、デジタルエクスペリエンス

 引き続き、登場したのは、デジタルマーケティング担当エグゼクティブ バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのブラッド・レンチャー氏だ。

デジタルマーケティング担当エグゼクティブ バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのブラッド・レンチャー氏
デジタルマーケティング担当エグゼクティブ
バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャ
ブラッド・レンチャー氏

 今やモノ=製品を売るのではなく、体験=エクスペリエンスを売るビジネスに変化している。その中核となるのが、モバイルとIoTだ。この変化に追いついていくのはやさしいことではない。単に顧客のことを知ればいいというわけではなく、継続的に魅力的なサービスやものを提供できなければならない。

 「たとえば、スポーツなどの観戦では、顧客はどこにいても同じものを観たいと考えます。モバイルで観ていてい、ついさっき止めたところから自宅のテレビでも続きをみたいと考えます。このように提供されるコンテンツは、デバイスが変わっても持続的であって欲しいのです。これを実現するには、企業側で構造的なシフトが必要になります」(レンチャー氏)

 レンチャー氏は、テクノロジーの進化で既存の仕組みが破壊される3つの波があると言う。1つ目の波は、バックオフィスにやって来た波だ。これは60年代からの効率化の動きであり、マニュアル的なバックオフィス作業にデジタルの波がやってきた。デジタル化でバックエンドの仕組みをつなぐことであり、それが企業収益にも大きく影響を及ぼした。この時導入されたのが、ERPのアプリケーションだ。ERPはすでに企業に定着し、ごく当たり前のものになっている。

 2つ目がCRMの波だ。これにより紙の顧客名簿と電話を利用していた世界がデジタル化された。CRMの活用で、企業は競争力を向上することになる。CRMも今や企業にとっては、ごく一般的なものになっている。

 そして3つ目の波が、新しいテクノロジーから生まれたデジタルエクスペリエンスの世界だ。前の2つの波と大きく違うのは主役の交代だ。最初の2つは、企業の自分たちのビジネスを効率的にやることであり、それにより自分自身が楽になる変革だった。

 一方でデジタルエクスペリエンスでは、中心にいるのは顧客だ。顧客の満足度を向上するための変革であり、顧客にとってじつはベンダーの存在などは本来はあまり関係ないものなのだ。企業は全体で顧客のエクスペリエンスを管理できなければならない。これは、すべての顧客との接点で、顧客に驚きと喜びを提供し続け、それが顧客の生活の一部になる必要があるからだ。顧客を1つの接点からだけ見るのではなく、個々の接点をダイナミックに見なければならない。

 この動きから後れを取れば、企業は顧客に批判されかねない。

 「エクスペリエンスビジネスの波は、今確実に起きており、これに乗り遅れればフォーチュン500に入っているような企業でも数年で市場から消え去ることにもなる。マーケターがビジネスをやる時代です。これは、かなりエキサイティングなことです」(レンチャー氏)

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マクドナルドは店舗を訪れているのが「誰」かを把握したい

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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