SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

EnterpriseZine Day Special

2024年10月16日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

パーソナルデータ活用の難点

テロ捜査への協力を拒否したアップル、なぜ評価された? データ・プロファイリングとブランドの関係

 「私以外は私じゃない」はずなのに、その「私」のことを誰かが私自身よりよく知っている。それがデータ・プロファイリングの問題点だということは、前回の記事で紹介しました。では、それがいやな人はどうしたらいいのでしょうか。今回はデータ・プロファイリングとブランドの関係から、そのヒントを探っていきます。

「ブランドの力」とは?

 データ・プロファイリングの問題を考える場合、まず頼れるのは「ブランド」です。ブランドとは、「ある特定の事業者が供給する商品やサービスに向けられた顧客の信頼」を指します。

 たとえば、筆者はポッキーが好きでよく買います。パッケージに「ポッキー」と書いてあれば、確実に「ふだん食べている、あの商品」が手に入ります。また、旅行に行くと「ご当地ポッキー」という変わり種を売っていたりします。夕張メロン味、信州巨峰味、宇治抹茶味……いろいろあるようです。

 ご当地ものは中身をよく知らないわけですが、「ポッキー」と書いてあれば、食品として何よりも大事な安全性や品質への不安がないし、味も「妙なものじゃないだろう」との信頼感があります。これが「ブランド」の力です。  

 いま、データ・プロファイリングにおいて強力なブランドを築こうとしているのがアップルです。ティム・クックCEOは、昨年9月に公表した顧客への「レター」で、「Appleはこれまで、自らのすべての製品とすべてのサービスにおいて、どの国のどの政府組織に対してもバックドア(情報の裏口)を設ける協力をしたことはありません。Appleのサーバへのアクセスを許容したこともなく、今後も決して許容しません」と述べていました。

 アップルのサイトには、「コンテンツに関する要求には必ず捜査令状が必要です」とあり、「iOS 8以降を搭載しているすべてのデバイスでは、アップルが政府の捜査令状に応じてiOSデータの抽出を行うことはありません。なぜなら、ファイルはユーザーのパスコードに紐づいた暗号鍵で保護されており、アップルはそのパスコードを所有していないため、抽出を求められてもできないのです」とあります。米国政府の要請にすら必ずしも協力するとは限らないと言っていたわけです。  

 昨年9月の時点で、これに関心を持った人は少なかったでしょう。しかし、今年2月、テロ容疑者の所持していたiPhoneのロックを解除するツールを製作するようFBIがアップルに求めたことで、同社の方針がにわかに注目を集めました。

次のページ
アップルがテロ捜査への協力を拒否した理由

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
パーソナルデータ活用の難点連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

玉井 克哉(タマイ カツヤ)

東京大学先端科学技術研究センター教授(知的財産法)
1983年東京大学法学部卒業、1997年より現職。2013年弁護士登録。現在の主な研究領域は、特許、営業秘密、著作権、ブランド、プライバシー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/7911 2016/04/19 07:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング